2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマディスプレイの理論設計を実現するマルチフィジックス量子分子動力学法の開発
Project/Area Number |
18350094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 百司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (90241538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 博司 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 客員教授 (80422434)
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Keywords | プラズマディスプレイ / マルチフィジックス / 量子分子動力学法 / プラズマ場 / MgO保護膜 / 破壊現象ダイナミクス / 高耐久性 / 2次電子放出能 |
Research Abstract |
プラズマディスプレイは、高輝度、高精細の画質を大画面・薄型で実現するディスプレイとして、現在、熾烈な開発競争が続けられている。具体的に現在のプラズマディスプレイにおける最大の開発課題はその長寿命化にあり、その劣化原因はMgO保護膜のプラズマ状態下における構造破壊である。そこで本研究では、「プラズマ場での化学反応ダイナミクス」を解明可能なマルチフィジックス量子分子動力学法の開発、MgO保護膜の破壊現象ダイナミクスの理論的解明、高耐久性MgO保護膜の理論設計を目的とした。さらに、プラズマ場におけるMgO保護膜の2次電子放出能を評価可能なマルチフィジックス量子分子動力学シミュレータの開発、高耐久性・高2次電子放出能を有するMgO保護膜の作製プロセスの理論設計、理論的に設計したMgO保護膜の実験的検証をも本研究の目的とした。 本年度は、申請者らが昨年度開発したMgO保護膜の2次電子放出能を評価可能な量子分子動力学シミュレータを活用して、様々なMgO保護膜の電子放出能を評価した。その結果、MgO保護膜のMgサイトに比較して、0サイトにXeが衝突することが電子放出に有効であること、さらにO原子で表面を被われているMgO(111)面の方がMgO(001)に比較して、電子放出に有効であることを明らかにした。さらに、実験的には昨年度開発したMgO保護膜のイオン励起によるカソードルミネッセンスとフォトルミネッセンスを同時測定可能な装置を活用し、低温ではエキシトン発光が起こるのに対し、高温では不純物発光が起こるという、温度により発光メカニズムが異なる現象を明らかにすることに成功した。
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