2007 Fiscal Year Annual Research Report
近接場光開口端を有する光導波路の作製と略半球型ガラス光共振器との光接合
Project/Area Number |
18350096
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 哲司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90221647)
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Keywords | 微小開口端 / イオン交換 / 光導波路 / 原子間力顕微鏡 / 略半球型ガラス素子 |
Research Abstract |
当該年度においては,前年度までに実施したガラス内部に導入しておいた光が伝搬する高屈折率層を形成している光導波層に存在しているAg^+イオンをSTM微小短針を使ってガラス表面方向に引き抜く操作によって得られた光開口端の形状を原子間力顕微鏡を用いて観察し,開口端からの光の出射との関係を調査した.その結果,表面部に析出するアルカリ金属が表面のごく浅いガラス部分をエッチングし,カルデラ状の凹部を形成すること、またそのエッチング形状がSTM短針より発生する電気力線の強さを反映し,特徴的な形状を有していることが明らかになった.また,FE-SEMによる観察から,その開口端部にはナノメートルサイズのAg金属微粒子が表面に析出してるいることがわかった.内部を伝搬してきた光は、この特徴的な開口端形状よりその一部が放射され,光導波路との光の入出を可能とするゲートとして機能していることが明らかとなった.また,イオン交換操作によって生じるガラス内部の構造緩和や体積変化についての知見を求めることを目的として,イオン交換ガラスの屈折率変化やNMR,IRを使った構造解析を実施し,導波路形成およびSTM引き抜き操作によって誘起されるガラスの変化についての基礎データを得ることができた. 光開口端との接合を可能とする略半球型ガラス素子の作製においては,高い屈折率を有するガラスを用いた素子の作製を行い,有害物質を含まないものの結晶化が引き起こされやすい高屈折率ガラスを使って良質な略半球型ガラスを作製することに成功した。また,StM法で作製したガラス素子の光共振器としての性能評価では,ドープした活性イオンの発光によるWGM光共振を確認するとともに,高いQ値の達成とレーザー動作の確認に成功した. つぎに,略半球型ガラス光共振器に光を効率的に導入するために必要な要件を明らかにする目的で行われた光導波路と光共振器との光接合の評価実験では,導波路より染み出される近接場光と共振器内のWGMモードとのモードカップリングの重要性が確認され,光開口端部に発生している近接場光のモード解析と制御が高い効率の接合を達成する上で重要なキーとなることが明らかとなった.
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