2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350101
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
内田 欣吾 龍谷大学, 理工学部, 教授 (70213436)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / 可逆的 / 形状変化 / 表面 |
Research Abstract |
トリメチルシリル基をもつジアリールエテンの結晶に紫外光を照射すると、結晶表面に無数のフィブリルが形成し、可視光を照射するとこれらが全て消失する現象を見出した。この現象は、結晶表面だけでなく、この化合物を金属、ガラス、プラスチック上にコートした膜の上においても観察することができた。フィブリルに覆われている時には、この表面上における水滴の接触角は163度と蓮の葉の上での水滴の接触角と同じとなり、光による超擾水現象の出現と消失が制御できることを確認した。SEMにより観察すると、ジアリールエテン固体表面のフィブリルは紫外線を照射しない限りは生成しないが、照射後は5分後には生成を始めており、20時間後には表面はフィブリルで覆われていた。可視光を照射すると、光強度にもよるが、数分でフィブリルが溶けるように消失していく過程がデジタルマイクロスコープで録画された。 この現象は、相図を用いて説明できた。すなわち、このジアリールエテンの開環体と閉環体はそれぞれ約100℃と140℃の融点をもつが、共融点はわずか30℃であった。紫外光をあてると表面組成が変わり、共融状態を経て、閉環体に特有な針状結晶がフィブリルとして観察されたものと考えられる。事実、低温では紫外光を照射してもフィブリルの成長は認められなかった。また、開環体と閉環体のX線構造解析と、フィブリルの粉末X線散乱の比較からフィブリルは閉環体によるものであることも確認できた。
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