2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波加熱法による機能性無機材料の合成反応の探索
Project/Area Number |
18350104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 峰夫 Niigata University, 自然科学系, 教授 (30149984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上松 和義 新潟大学, 工学部, 技術専門職員 (20377146)
戸田 健司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20293201)
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Keywords | 無機材料 / マイクロ波 / 蛍光体 / 正極材料 |
Research Abstract |
Mg_2SnO_4:Mn^<2+>系蛍光体をマイクロ波加熱法により合成した.この蛍光体は紫外線照射により強い緑色の蛍光を発し,プラズマディスプレーへの応用が期待されている.また,その合成方法によっては,残光特性(紫外線照射を止めた後も発光を続ける現象)を発現することが知られている.マイクロ波加熱法により合成した試料では,通常の電気炉加熱法で作成した場合に比べ,発光強度は約1.3倍を示した.マイクロ波加熱後の蛍光体中のMnの分布をEPMAにより分析した結果,電気炉加熱の場合に比べ均一性が格段に良好であった.マイクロ波加熱の場合は,原料成分の内SnO_2がマイクロ波により選択的に加熱されて反応が進行するが,生成したMg_2SnO_4はマイクロ波を吸収しないことがこれまでの研究で明らかになっているが,その中に分散されたMnイオンがマイクロ波のエネルギーを直接受けて,Mnの拡散が促進された結果であると予想された.また,マイクロ波加熱法により合成したMg_2SnO_4:Mn^<2+>蛍光体は,X線回折測定の結果では電気炉加熱の場合とほとんど差異は見られず,また,紫外線を照射したときの発光強度は大きいにもかかわらず,残光特性をほとんど示さなかった.その要因としては結晶中の歪や欠陥が考えられた.マイクロ波加熱法では欠陥の少ないきれいな結晶ができるため残光の発現要因となる電子トラップを形成しないことや,逆に,急速冷却により多量の欠陥が生じて発光中心に捕らえられた電子を消費してしまうことが考えられた.これについては今後明らかにしてゆかなければならない. 以上の結果より,蛍光体をマイクロ波加熱法で合成することにより,発光強度の増大が期待できること,および,残光特性を制御できることが明らかとなった.
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