2007 Fiscal Year Annual Research Report
シリサイド半導体の禁制帯幅拡大と伝導型制御による高效率太陽電池
Project/Area Number |
18360005
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40282339)
|
Keywords | シリサイド半導体 / Hall測定 / 電子密度 / 不純物ドーピング |
Research Abstract |
BaSi_2で太陽電池を実現するには、不純物ドーピングによる伝導型およびキャリア密度の制御が不可欠である。しかし、BaSi_2に不純物をドーピングしたとの報告例は、これまでなかった。昨年の研究で、BaSi_2にInをドーピングすることで、p型BaSi_2の形成に成功した。そこで、本年度は、V族のSbを不純物に選んで、ドーピングによりn型BaSi_2の形成を目的に実験を行った。Sbのドーピングは、BaSi_2を高抵抗Si(111)基板に形成する際に、Si,Baと同時にSbをKセルから照射することで行った。θ-2θXRDパターンから、Sbのドーピング量の増加に伴い、X線回折ピーク強度は減少するが、(400)および(600)の回折ピークが明瞭であり、InドープBaSi_2と同様に、SbドープBaSi_2も結晶軸乱れることなく、ドーピングが行えたといえる。次に、基板温度を500℃または600℃として、Sbセル温度を200℃から300℃まで変化して成長したSbドープBaSi_2膜を形成した。形成した試料は、全てn型を示した。これから、SbはSiサイトを置換したと考えられる。また、Sbセル温度を変化しても、電子密度は殆ど変化しなかった。一方、基板温度が500℃と600℃では、100℃違うだけで、電子密度は10^<15>cm^<-3>から10^<20>cm^<-3>と5桁近く変化していることが分かった。このように、Sbセルの温度を変えても電子密度が変化しないのは、Sbの蒸気圧が大きいため、基板に到着したSb原子は、基板温度が600℃の場合、ほとんど再蒸発するためだと考えられる。以上の実験結果を受けて、次の実験では、Sbセル温温度を250℃に固定して、成長時の基板温度を500℃から600℃に変化して、SbドープBaSi_2膜を成長した。この場合、基板温度を下げるにしたがい電子密度は増加し、10^<16>cm^<-3>から10^<20>cm^<-3>までと広い範囲で制御できることが分かった。
|