2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性半導体のドーピングによる磁性制御と電界制御磁気デバイスへの応用
Project/Area Number |
18360006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
滝田 宏樹 University of Tsukuba, 名誉教授 (00011213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 眞司 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40221949)
高増 正 物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (60212015)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 不純物ドーピング / フェルミ準位 / 電界効果トランジスター |
Research Abstract |
本研究課題では室温強磁性半導体の候補として注目を集めている新規半導体(Zn,Cr)Teを対象とし、不純物のドーピングおよび外場による磁性の制御を目指して研究を行っている。これまでの研究で(Zn,Cr)Teの強磁性特性はドナーないしアクセプターのドーピングにより大幅に変化することが判明している。すなわち強磁性はアクセプターである窒素をドープすると強磁性転移温度Tcは低下し、逆にドナーであるヨウ素をドープするとTcは大幅に上昇する。今年度は昨年度に引き続いて、ドーピングによる強磁性変化の原因を究明するため、透過型電子顕微鏡(TEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDS)により結晶構造解析および組成分析を行った。その結果、強磁性特性は結晶中のCrの分布と相関があり、ヨウ素をドーピングし転移温度Tcの高い試料では結晶中のCr分布が不均一となり、Cr原子の凝集したナノメーターサイズの領域が形成されていることを見出した。このことよりヨウ素ドーピングによる強磁性の増強は、Cr組成の高い強磁性クラスターの形成が原因であることが明らかとなった。このようなCr凝集クラスター形成のメカニズムとして、ドーピングによるフェルミ準位のシフトによりCrイオンの価数が変化し、この価数変化がCr間の相互作用に変化を齎しCrが凝集したクラスターが形成されるという新たなモデルを提唱した。 また、外部電界による(Zn,Cr)Teの磁性の制御を目指して、(Zn,Cr)Te/(Zn,Mg)Teのヘテロ構造による電界効果トランジスター型構造の作製し、磁気光学効果により(Zn,Cr)Te層の磁化状態を測定することに成功した。
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Research Products
(11 results)