2007 Fiscal Year Annual Research Report
スメクティック液晶の局所分子秩序と層構造の放射光マイクロプローブによる解析
Project/Area Number |
18360013
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
飯田 厚夫 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 教授 (10143398)
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Keywords | 放射光 / X線マイクロビーム / 液晶 / スメクティック液晶 / 非球面ミラー / 共鳴X線散乱 / 層構造 / X線小角散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は放射光マイクロビームによるスメクティック液晶の(反)強誘電相などにおける特徴的な組織構造と局所分子秩序の関係をX線時分割手法により動的に明らかにすることにある。 実験は高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光研究施設・偏向電磁石ビームラインBL-4Aを利用して得られる放射光をX線源として行ってきた。スメクティック液晶に見られる興味深い組織の多くは、セル厚に近い数ミクロンの空間的サイズを持つ。このような領域を調べるために十分な性能(空間分解能、角度発散、強度)を持ったX線光学系を整備した。X線全強度・X線密度・ビームサイズを最適化し、1〜2μmのビームサイズのX線ビームは既存の光学系の上流にピンホールを挿入して形成するのが効率が良く、一方で20〜30μmのビームサイズを持ったKirkpatrick-Baez光学系は試料への損傷も少ないことから、ソフトマター解析には最適であることがわかった。平板ミラーを応力により湾曲させ非球面を実現する新しいX線集光方法を開発した。この方法は、非球面形状を制御することができるので、ほぼ計算値に対応したビームサイズ・X線強度が得られた。 一方、分子間の層内秩序と層構造を同一の微小領域から実験的に求める試みを行なってきた。高分解能CCDを採用することにより、従来より高い精度で層間隔を求めることに成功し、層と分子の傾きの関係を求めることができた。また同じシステムを用いて、ガラスセルに封入された液晶試料の局所領域からの共鳴X線散乱を世界で始めて測定することに成功した。共鳴X線散乱強度は微弱であり、一方液晶試料は損傷を受けやすいので、ビームサイズ・X線光子密度の最適値を探した。
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