2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360015
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 郵司 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 光技術研究部門, 主任研究員 (80358340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近松 真之 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員 (10415713)
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Keywords | 電気・電子材料 / データストレージ / ナノ材料 |
Research Abstract |
今年度は主に銀微粒子積層膜の構造制御による有機メモリーの研究を中心に行った。まず、微粒子層を挟み込む有機サンドイッチ層の材料の検討を行った。候補材料のスクリーニングとして、真空蒸着可能な有機誘電体であるアルカン分子、フッ素化アルカン分子、高分子パリレン高分子および2-アミノ-4,5-イミダゾールジカルボニトリル(AIDCN)などで、実際にサンドイッチ型素子を作製した。併せて、基本的な物性を測定する為に、高周波領域まで誘電率測定が可能となる誘電率測定インターフェースの増設を行った。 アルカン分子、フッ素化アルカン分子を用いた積層型デバイスでは、メモリー特性が殆ど確認されず候補材料からは外れた。パリレン高分子は膜厚の制御に問題があり、数十ナノメートルのギャップでのトンネン電流を起源とする本素子において最適化に難があることが明らかになった。AIDCNは他グループの研究でも実績の有る有機メモリー材料であり、実際に銀微粒子の積層素子においても明確なメモリー特性が見られた。 そこで、AIDCN層で挟み込む銀微粒子層を単層から2層以上に積層することで、電荷の蓄積状態を調べた。単純に銀微粒子の積層数が増えるに従って、メモリー特性を示すヒステリシス曲線の面積が大きくなった。このことは、微粒子量の増加により電荷量が増え、それにより電荷の出入りに大きなバイアスが必要となった事を示している。微粒子層が構造制御されている為に再現性良くヒステリシス曲線の増加傾向が見られたと考えられる。従って、本メモリーは抵抗値の制御で無く、閾値電圧の制御に効果的であることが明らかになった。 本研究で得られた成果として、側鎖にカルバゾール基を有するセルロース骨格の新規合成高分子において明確かつ安定なメモリー特性を確認することができたこと、銀微粒子積層膜においてヒステリシス曲線の制御が銀微粒子層の厚さで可能なことが明らかになった。これらの結果は、次世代有機メモリーにおいて分子レベルおよびデバイスでの精緻な構造制御の重要性を示唆している。
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Research Products
(1 results)