2006 Fiscal Year Annual Research Report
BEEM/STMによる磁性体/半導体ナノ構造におけるスピン依存現象の観測と制御
Project/Area Number |
18360021
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 淳二 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90158486)
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Keywords | BEEM / BEES / スピン依存トンネル現象 / STM / ハーフメタル |
Research Abstract |
スピン偏極BEEM/BEES観測技術の開発を推進し,この観測技術を活用して半導体/磁性体界面におけるスピン依存トンネル現象における界面の影響を明らかにすると共に,スピン依存トンネル現象を促進させるための界面制御を実現することを目的として研究を進め,研究初年度の本年度は,以下の初期的な成果を得た. 【BEEM/BEES測定系の性能向上】現有のBEEM/BEES測定系のプリアンプ,電源,アースラインの再検討・改善により,S/N比のおよそ1桁の向上を実現した. 【GaMnAs/GaAs/GaMnAsヘテロ構造のSTM,BEEM測定に向けて】GaMnAsを電極とするBEEM測定を実現に向けて,低温成長のGaMnAs表面の平坦性,安定性の改善を図り,原子レベルの画像を得るための成長条件の最適化を進めた. 【ハーフメタル型バンド構造を有する新材料のBEEM/BEES測定に向けて】zb型構造をもつMnAsやCrAsが,ハーフメタル型のバンド構造を有するという理論予測に基づき結晶成長の報告もなされているが,その電子構造や詳細な物性については,ほとんど理解が進んでいない.この原因は,これらの物質の結晶成長の困難さに一端がある.本年度は,STMによりMnAsの1分子層以下での成長過程を調べた.その結果,成長の極めて初期には,MnAs被覆量の増大と共にGaサイドを置換したMnの増大による電子数の減少が,ダイマー欠損率の減少により補償されるが,被覆率約0.5分子層で欠損ダイマーが消失し,それ以上のMnAsの被覆率増大が,NiAs型MnAsの形成に結びつくことを見いだした.これらの知見を元にしてNiAs型へ移行を抑制するための方策を検討した.
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