2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑原 裕司 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (00283721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 彰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90294024)
赤井 恵 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50437373)
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Keywords | トンネル電流誘起発光 / 有機薄膜 / 表面・界面特性 |
Research Abstract |
単一分子からの発光現象およびそれを用いた分子デバイスの構築を目指して、探針誘起プラズモン増強を利用した分子発光検出、及び発光効率を飛躍的に増強させたEL素子の高度化を行った。 局所領域からの発光では、昨年度成功した金ナノ構造による表面プラズモンアシストの蛍光発光イメージング測定について詳細に解析を行った。解析の結果、バイアス依存性を制御することで、探針誘起プラズモン発光と、有機分子(CuPc)薄膜からの蛍光発光を厳密に分離できることがわかった。なぜならば、探針誘起プラズモン発光は、トンネル電子のエネルギーよりも大きなエネルギーを持っ発光がまったく起こらないのに対して、有機分子(CuPc)からの発光は、3重項状態を経由するいわゆるアップコンバージョン発光が起こっていることを突き止めた。本発光現象は、探針直下においてプラズモン誘起に伴う局所電場の増強効果が顕著であり、バイアス電圧(トンネル電子の持つエネルギー)を適切に設定することで、純粋な蛍光発光のみによるフォトンマッピングが可能であることを実証した。 新規EL素子の開発では、昨年度成功した"ITO透明電極/金微細構造/フタロシアニン薄膜(ホール輸送層)/Alq3薄膜(電子輸送層及び発光層)/Al電極"のサンドイッチ構造によるプラズモン増強効果(発光強度で最大20倍増強)をさらに発展させた。具体的には、昨年度までは金微細構造をナノスフィアリソグラフィーを用いて作製していたが、EL発光実験において非常に再現性が悪く、増強効果を起こす割合が数パーセントにとどまっていた。本年度は、Alq3の蛍光発光エネルギーに対応するプラズモン波長を持つよう、金ナノ粒子径を設定し、粒子を直接ITO基板に一層分構築することで、比較的安定した増強効果実現した。
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