Research Abstract |
本研究は,上記の新しい動作原理に基づくポテンシャル制御量子井戸として,非対称三重結合量子井戸(ATCQW)を提案し,理論的に予測された極めて優れた電界誘起屈折率変化特性を実証するとともに,干渉型光変調デバイスを試作し,その有用性を示すことを目的とする.平成18年度は,以下の成果が得られた. 1.GaAs/AlGaAs ATCQWの電界誘起屈折率効果の詳細な特性解析を行った.計算方法としては,k・p摂動法により全て準位の価電子帯構造を計算した.次に,非変分法的手法により励起子の束縛エネルギー等の計算を行い,価電子帯の非放物線性を考慮しつつ,ATCQWの電界誘起屈折率変化特性特性計算を構造の最適化と詳細な特性解析を行った。その結果,電界強度30〜40kV/cm付近できわめて大きな屈折率変化率(dn/dF)が得られ,位相変調器やマッハ・ツェンダー型光変調器,光スイッチ用材料として有望であることが分かった. 2.単一GaAs/AlGaAs ATCQWの位相変調器作製に向けて,光導波路構造の見直しと作製プロセス条件の改善を行った.すなわち,従来,順メサ方向に光導波路を形成していたが,逆メサ方向に変更することにより光閉じ込めをより強くする構造の作製し,電極形成上の問題が生じたが,解決の見通しが立った.現時点では,どちらの導波路が良い特性が得られるかは検討中で,結論は出ていない.また,コア層及びクラッド層の層厚等の構造最適化を行った.残念ながち,結晶成長装置等のトラブルにより,高品質な位相変調器の作製には至らなかった.
|