2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 彰 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (90294024)
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Keywords | 構造色 / 応用光学 / 生物物理 / ナノインプリント / バイオミメーシス / モルフォ蝶 / 干渉色 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自然界の生物(特にモルフォ蝶)のもつ巧妙な光学的構造をベースにし、色素を用いることなく、構造色による新規な発色体を作製することである。青色では近年、特殊なナノ構造構築により、モルフォ蝶の光特性が申請者らによりほぼ再現された。しかし、工学的には「3原色の実現」「量産プロセス開発」の2点がネックとなり、実現に至っていない。 本年度は、下記2点にしぼって研究を実施した。1)発色基板の量産プロセスの開発。2)その量産基板が「広角で色の変わらない、高反射率の、鮮明な色、を再現すること」(モルフォ蝶の光特性)の証明。 まず1)の量産プロセスについては、基板表面の特殊なナノパターン複製が鍵である。この目的には、近年進歩の著しいナノインプリントリソグラフィー(NIL)技術を用い、材質と各種条件を工夫することで、パターニング複製に成功した。引き続いて多層膜の成膜が必要であるが、その条件を検討し、成膜を行った(従来の石英上でなく、ナノインプリント「樹脂」基板上への成膜条件の検討)。ナノパターンは成膜の前後で、SEMおよびAFM観察により、十分な精度で構造が再現されていることが確認された。さらに断面SEMでは、発色の根本である切れ切れの多層膜構造が確認できた。 次に、2)の光学特性がどの程度保存(再現)されるか、について評価した。ここで光学測定とは、各波長で反射率の角度分布を測定することが主体である。この結果も、NILで作製された量産型基板は、従来プロセスの基板とまったく遜色のないことが示された。 さらにこれらの光特性は、シミュレーションとの比較により製作工程にフィードバックし、パラメータの最適化を行ってゆく必要がある。こうしたシミュレーションを用いた方法論についても、足がかりを作ることができた。
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