2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 彰 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (90294024)
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Keywords | 構造色 / 応用光学 / 生物物理 / バイオミメーシス / モルフォ蝶 / ナノインプリント / 干渉色 / 電磁場解析 |
Research Abstract |
本研究の目的はバイオミメーシスに関係し、生物(特にモルフォ蝶)のもつ巧妙なナノ構造をベースにし、色素を用いることなく、構造色による新規な発色体を作製することである。近年、特殊なナノ構造構築により、モルフォ蝶の光特性は申請者らにより、青色ではほぼ再現された。そして本課題の初年度(昨年度)には、応用上のネックである「量産プロセス開発」が最新のナノインプリント技術を用いることで実現され、光学特性も損なわないことが確認された(スループット従来比1000倍)。 今年度は、これまで「ほぼ(定性的に)成功」のレベルであったモルフォ蝶発色再現の光学特性(特に1.角度広がりと2.色度、の2点)について、「完全かつ自由な制御」を目標に研究を進めた。具体的に1.では基板加工の構造パラメータをナノレベルで調整し、その反射特性への影響を精査した。その際、2種類のシミュレーション(Matrix計算とFDTD解析)を導入し、予測と構造(作製)と測定の関係付けを図った。その結果、パラメータの最適化が可能となり、真のモルフォ蝶に等しい角度広がりを得ることに成功し、構造と光学特性との相関が定量的に把握できるようになった。これらの結果は招待2件(国際会議)を含む複数の学会発表・論文として結実した。 2.の色度ではまず基板と別に、波長を決める膜パラメータを変えることでスペクトルを制御し、次に基板では従来不完全であった乱雑さを増やすよう改善した。その結果、スペクトル(波長間の関係)では真のモルフォ蝶スペクトル再現に成功したが、まだ回折効果が不十分であり、乱雑さの増加だけでは対処として不完全なこと、むしろ予想以上に成膜過程での「膜の平坦化」が大きく影響することが示された。この結果は今後の指針として有効なヒントであり、上記の効果を加味したスペクトル制御により、完全な色度の制御が可能になると予測される。
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