2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360039
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 彰 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90294024)
|
Keywords | 構造色 / 応用光学 / 生物物理 / ナノインプリント / バイオミメーシス / モルフォ蝶 / 干渉色 |
Research Abstract |
本研究の目的はバイオミメーシスに関係し、生物(特にモルフォ蝶)のもつ巧妙なナノ構造をベースにし、色素を用いることなく、構造色による新規な発色体を作製することである。近年、申請者らは特殊なナノ構造構築によりモルフォ蝶の青色を再現した後、本課題の中「量産プロセス開発」に成功し(スループット従来比1000倍)、次に光学特性(1.角度広がり2.色度の2点)の自由な制御を目指し、1.については成功した。今年度は、2.を中心に研究を進めた。1.2.ともに基板の構造パラメータをナノレベルで調整する必要があるが、特に2.の点では回折広がりの効果が不十分で「強すぎる鏡面反射」が依然として残り、それが色度劣化を引き起こす疑いが強いと分かった。ここで鍵となるのは乱雑さの付与が十分か否か、である。しかし、従来のシミュレーション(多層膜反射の解析的Matrix計算)ではその評価が困難である。そこで、乱雑さの役割について精査するため、新たなシミュレーション(解析解でなく数値解によるFDTD解析)を導入し、予測と構造(作製)と測定の関係付けを図った。その過程で、まず従来の解析的計算と新たなFDTD計算との整合性を精査する必要があり、両者の比較を慎重に行った。その結果、従来の解析的計算の功罪が把握でき、FDTD解析により、これまで扱えなかった構造パラメータの最適化が可能となった。同時にパラメータを多数変えた様々なヴァリエーションの発色体を作製し、その影響を調べた。多数の基板の評価が必要なため、最終的に乱雑さの詳細な役割と包括的な結論にっいては検討中であるが、構造と光学特性との相関が乱雑さを含めて定量的に把握できるようになった点は大きい。こうした様々なモルフォ基板の作製および乱雑さに関する評価は招待3件(国際会議)を含む複数の学会発表・論文として結実した。
|