2008 Fiscal Year Annual Research Report
中空ファイバーを用いる小型真空紫外レーザーの実現と光物質プロセスへの展開
Project/Area Number |
18360040
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
窪寺 昌一 University of Miyazaki, 工学部, 教授 (00264359)
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Keywords | 真空紫外 / 希ガスエキシマ / 光電界電離 / 中空ファイバー / 卓上型レーザー / 高強度レーザー / 光プロセス |
Research Abstract |
最終年度である平成20年度は,以下の4点について新しい知見を得た. 1.中空ファイバーによりプラズマ利得媒質の同定 前年度までに明らかになった非線形光学現象によるプラズマのチャネリングをより定量的に評価するために中空ファイバー内に光電界電離プラズマを生成し,その特性を真空紫外光の増幅により評価した.プラズマ利得領域を中空ファイバーで制限することにより,利得媒質と真空紫外光との空間的オーバーラップが改善され,その結果,より高い増幅率を得ることができた. 2,非線形波長変換によるサブピコ秒真空紫外パルスの高効率発生 希ガスを非線形媒質として波長882nmの超短パルス赤外光の第7高調波(波長126nm)を得ることに成功し,あわせてこの波長変換光の最適化を行った.その結果,キセノンを非線形媒質とした場合に最も高い出力が得られ,その変換効率は約10^<-6>と見積もられた.第7高調波の振る舞いはより低次の第3高調波のそれと定性的に一致しており,古典的な非線形光学により説明できることがわかった.また,高出力化に対しては,媒質のイオン化による非線形媒質密度の減少,それに伴う位相不整合の増大により制限されていることがわかった. 3.卓上型真空紫外増幅器によるサブピコ秒真空紫外パルスの増幅 一台の励起用超短パルスレーザーを用いて,光電界電離アルゴンプラズマ増幅器を生成し,同時にキセノン中で非線形光学効果により第7高調波を得るシステムを考案した.その結果,第7高調波出力が約40倍増幅されたことが観測された.しかしながら増幅後のスペクトルには高調波以外の成分もあることからさらにデータを蓄積していく必要がある. 4.光物質プロセスの基礎過程の観察 波長126nmの真空紫外光源を気相物質に照射することにより,光分解物質を質量分析器で測定する装置を新たに開発した.これにより各種光エネルギーに対する物質の脱離,解離,分解等の基礎過程が明らかになった.これらの成果は上記のレーザー光源と組み合わされる予定である.
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