2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80298140)
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Keywords | 量子ドット / スピン / 化合物半導体 / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
昨年度に、高均一量子ドットの励起準位で高いスピン偏極率が得られることを報告した。今年度はこのメカニズムの解明にとりくんだ。高均一量子ドットの各準位のスピン偏極率を時間分解フォトルミネッセンス(PL)法によって調べた。フェムト秒円偏光パルスを用いてスピン偏極キャリアをGaAs層に光励起し、ドット内に緩和後のPLをストリークカメラによって時間分解測定した。キャリアスピンの向きはPLの円偏光から判別した。その結果、光励起直後のスピン偏極率は極めて大きいことがわかった。5mW励起での第二励起準位(1050-1070nm)のPLでは、スピン偏極率の初期値が45%という非常に大きな値を有しており、第一励起準位(1108-1128nm)では3mW励起において31%、基底準位(1170-1190nm)では1mW励起において22%もあることがわかった。これらの高いスピン偏極率の原因としてはスピンパウリブロッキングを想定し、この効果を含んだレート方程式を用いて解析を行ったところ、良い一致を得た。 また、結合した量子系のスピン緩和を調べるために、結合量子井戸のスピン緩和を測定した。その結果、電子のスピン緩和時間が励起光強度にあまり依存しないことが明らかになった。また、ホットキャリアの緩和過程のスピン緩和への影響を調べるために、第三高調波発生器によるポンプ・プローブ測定系を試作した。テストとしてInGaNのホットキャリアの緩和時間を測定し、緩和時間が15Kで、0.9psと極めて高速であることを明らかにした。加えて、新しい半導体であるGalnNAsのスピン緩和を測定し、局在と非局在励起子で、スピン緩和時間が2nsと192psと一桁違うことを明らかにした。窒化物半導体でも量子ドットの形成が報告されていることから、窒化物の量子ドットでのスピン物性の解明にも今後、取り組む予定である。
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