2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80298140)
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Keywords | 量子ドット / スピン / 化合物半導体 / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
結合した量子系でのスピンの振る舞いを調べるために、縦方向に柱状に積層したコラムナ量子ドットのスピン緩和を調べた。 コラムナ量子ドットは、GaAs(001)基板上にMBE法で、1.8MLのInAs量子ドットを成長し、その上にGaAs層(3ML)とInAs層(0.62ML)を交互に3,20,35周期成長させて作製した。この場合、InAs量子ドットを種にして成長方向に向かって柱(コラム)状の量子構造が形成できる。コラムの直径は30nm~40nmである。スピン依存時間分解フォトルミネッセンス(PL)測定では、ドット中に緩和したキャリアの発光をストリークカメラによって時間分解測定する。測定系の時間分解能は15psである。35周期積層したコラムナ量子ドットのスピン緩和時間は単一指数関数近似により5.3nsとなった。20、3周期積層コラムナ量子ドットでは、スピン緩和時間はそれぞれ3.4nsと1.6nsが得られた。このことから、ドットの積層数が増えるとスピン緩和時間は長くなることが分かった。一方、キャリアの発光寿命も、積層数が多くなるほど長くなることがわかった。ドットの積層数が増えると電子とホールの波動関数が空間的にずれる可能性があり、この場合、発光寿命は長くなる。またこのとき、交換相互作用によるスピン緩和メカニズムであるBir-Aronov-Pikus効果では、波動関数の重なりが減るほどスピン緩和時間が長くなる。したがって、コラムナ量子ドットでは、Bir-Aronov-Pikus効果が主要なスピン緩和メカニズムとして働いている可能性が高いことが明らかになった。
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