2008 Fiscal Year Annual Research Report
極微量放射性核種シリコン32の加速器質量分析による超高感度検出法の開発
Project/Area Number |
18360043
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笹 公和 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20312796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 泰夫 筑波大学, 名誉教授 (60091914)
末木 啓介 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90187609)
田瀬 則雄 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40133011)
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Keywords | 加速器質量分析法(AMS) / シリコン32 / 長寿命放射性核種 / 年代測定 / 粒子識別 / 環境動態研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、極微量放射性核種シリコン32(32Si)を高感度で検出できる、大型タンデム静電加速器を用いた加速器質量分析法(AMS)を開発することである。32Siの半減期は140年程度であり、氷床や地下水、海洋循環などの環境動態研究への応用が期待できる。 1.32Si用AMSシステムの開発 32Siの同重体である1602分子を用いたパイロット分子ビーム法により、加速器電圧の安定制御に成功した。AMS用の32Si標準試料は、NH4Clに中性子を照射して作成し、試料処理によりSiO2の化学形とした。安定同位体イオンの28Si-は、430 nAのビーム電流値を得た。加速器設定パラメータは、32Si8+について加速電圧9MVとして、加速エネルギー81MeVによりAMS測定を実施した。第2荷電変換膜により検出イオンとして32Si11+に変換した後、8度静電偏向器と45度分析電磁石により粒子識別を行った。ガス△E一半導体検出器により物質中のエネルギー損失差を利用して、妨害となる硫黄32(32S)との分離識別を試みた。開発したAMS測定方法により、32Siと妨害となる32Sを明確に分離識別し、32Si11+の粒子検出に成功した。 2.Si試料調整方法の検討 妨害となる硫黄32(32S)のBaSO4沈殿による除去方法を開発した。測定用試料として、SiO2試料の作成方法を開発した。また、イオン源装填時の試料支持材及び帯電防止用添加物として、SiO2試料、にNbを添加する手法を開発した。 本研究成果は「第11回加速器質量分析法に関する国際会議」において報告を行った。
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