2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゾーンプレートを用いた硬X線干渉顕微鏡の開発とその応用
Project/Area Number |
18360044
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 紀生 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80241793)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 貞雄 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50016804)
|
Keywords | X線 / X線顕微鏡 / X線干渉計 / 位相計測 |
Research Abstract |
今年度は、前年度作成した直径330μm,最外輪体幅50nmのゾーンプレートを用いた干渉計の高精度化、およびフリンジスキャンによる位相再構成を用いた3次元位相トモグラフィーの生物試料への応用実験を行った。 今回視野を広くしたことによって、SPring-8BL20XUアンジュレーターを用いても十分な空間コヒーレンスが確保できなくなった。そのため、上流に幅50μmのスリットを導入することによって約200μmの視野全面で干渉像を得ることができた。また、光学系ホルダー類をより剛性の高いものに改良することにより、エネルギー8keVで線幅200nmのTaパターンまで位相像として分解結像することができた。 試料として植物の胞子を主に用いて位相トモグラフィーの最適化を行った。試料をガラスキャピラリの先端部に固定して回転ステージに取り付けた。20s露光の4枚の像から位相再構成し、位相アンラッピング処理をして位相像とした。この投影像を2度間隔で90投影記録し、SLフィルターを用いたCBP法で再構成を行った。表面の凹凸等の形状をサブミクロンの空間分解能で再構成することができた。 生物試料を生のまま観察する場合、試料の乾燥や放射線損傷の影響を避けるためには試料を凍結して観察することが有効である。しかし、大気中でトモグラフィー観察を行う場合には、試料のぶれが大きくこれまでうまくいかなかった。本研究では、冷却窒素ガスと試料ステージの回転軸を同軸にして工夫することによりぶれを0.1μm程度にまで抑えることに成功した。 現在用いているゾーンプレートは厚さ400nmで、8keVでの集光効率は4%と低い。より高い集光効率を得るにはより厚いゾーンプレートが必要となる。そこで、今年度は厚さ800nmのゾーンプレートをさらに2枚作成した。この評価は次年度行う予定である。
|
Research Products
(4 results)