2007 Fiscal Year Annual Research Report
3次元電気泳動顕微鏡の開発とそのソフトマテリアルへの応用
Project/Area Number |
18360046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 Kyushu University, 理学研究院, 教授 (00225070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 正敏 九州大学, 理学研究院, 助教 (40403919)
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Keywords | 光ピンセット / 局所力学物性 / 液晶 / コロイド / リポソーム / ラメラ相 |
Research Abstract |
昨年度開発を行った2ビームレーザーピンセットシステムを用いて、さまざまなソフトマテリアル複雑流体中に数十nmから数μmサイズのコロイド粒子をプローブとして分散し、それを用いて以下のようなソフトマテリアルの局所的な粘弾性測定をはじめとした力学物性測定ならびに相互作用の直接測定を行った。 (1)ネマチック液晶中に分散したコロイド粒子間には、液晶の弾性相互作用を反映した極めて長距離かつ異方的な相互作用が働くことが理論的に予想されていた。我々は、さまざまな粒子配置を光ピンセットにより実現し、その各場合における粒子間相互作用を精密かつ直接的に測定することはじめて成功した。さらに、得られた結果を既存の理論予測と比較することで、これらを利用したメソスコピック構造構築のための基礎的知見を得ることができた。 (2)細胞膜のモデル物質であるリン脂質からなる小胞(リボソーム)にコロイド粒子を内包させ、これを用いてリボソームを内側から直接変形させ、リボソームの表面張力ならびに曲げ弾性率の測定に成功した。さらに、多成分のリボソームについて同様の測定を行なうことで、成分による力学的性質の違いならびにそれによるリボソームの形態分化に関する新たな知見を得ることに成功した。 (3)メソスコピックスケールの階層的内部構造を有する界面活性剤ラメラ相における局所粘性測定を行い、膜間隔が数十ナノメートルの極めて拘束された空間での粘性測定にはじめて成功するとともに、空間的な階層構造に対応して動的性質にも階層構造が出現することを明らかにした。
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