2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高サイクル疲労における内部き裂初期伝播機構の統一的理解
Project/Area Number |
18360051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30237408)
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Keywords | 疲労 / フラクトグラフィ / 内部起点型破壊 / 超高サイクル疲労 / 粒状領域 / 真空 / 圧縮応力 / き裂伝播 |
Research Abstract |
本研究の目的は,超高サイクル疲労の原因である内部起点型破壊において,き裂の初期伝播過程で生じる微細な凹凸状破面の形成機構を明らかにすることである.「この特殊な破面は,気体成分の吸着が著しく少ない内部き裂の伝播過程において圧縮負荷によりき裂新生面が長期間繰返し接触をすることで形成される」という仮説を提案し,その検証を試みる.平成18年度の実績は以下の2点である. 1.真空き裂伝播特性試験機の開発 超高真空対応のチャンバーを備え,任意の応力比で実験ができる疲労試験機の開発を行った.当初の設計では到達真空圧力を「高真空(10^<-5>Pa程度)」としていた.しかし,その後の詳しい検討により,き裂伝播に与える真空の影響を定量的に論ずるには,水素を代表とする軽原子の影響を評価する必要があること,到達圧力を超高真空領域に上昇させるべきこと,等が示された.このため,チャンバの仕様について設計変更を行った.開発された試験機の主な性能は以下の通りである.(1)到達圧力は4×10^<-7>Pa以下となり,超高真空での実験を行うことができる.(2)試験片の軸心あわせ機構を有し,任意の応力比で曲げ3%以下の軸荷重疲労試験を行うことができる.(3)質量分析器を取付けることにより,粒状破面の形成に及ぼす気体分子の影響を明らかにすることができる. 2.チタン合金の真空中き裂伝播試験と破面解析 平成19年度以降の実験の予備試験として,Ti-6Al-4Vを用いて真空中でき裂面に長期間繰り返し接触を与えるき裂伝播試験を行った.SEM破面観察の結果,き裂閉口が強く生じる部分において,微細な凹凸状の破面領域が観察された.粒状領域の大きさや形状を分析したところ,内部起点型破壊で認められている粒状領域の特徴と一致することが明らかとなった.この結果は前述の下線部に示した本研究の仮説を支持するものであり,今後1.で開発した試験機を使用して,様々な条件で真空中のき裂伝播特性や破面形成を検討するための基盤を構築することができた.
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Research Products
(1 results)