2007 Fiscal Year Annual Research Report
多相混合体理論に基づく心臓冠循環モデルの構築とシミュレーション手法の開発
Project/Area Number |
18360054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
陳 献 Kyushu University, デジタルメディシン・イニシアティブ, 教授 (70313012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 清了 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
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Keywords | 冠循環 / 混合体理論 / 有限要素法 / 生体力学 / 生体材料モデル |
Research Abstract |
平成19年度の研究で以下の成果が得られた. 1. 18年度では細動脈・毛細血管・細静脈からなる冠循環数理モデルを構築したが、実際の冠循環システムでは小動脈または小静脈から徐々に分岐し、毛細血管に到達するまで階層的血管構造が存在することを考慮して、18年度で構築した理論モデルの改良・拡張を行った。各階層の血液を独立した流体相として、混合体理論に基づく多相混合体モデルにより、冠循環システムの階層的構造を反映した階層型冠循環数理モデルを構築した。これにより、冠循環システムにおける小動脈、小静脈から毛細血管まで比較的に連続的血管システムの分布をより精密に反映できるようになった。さらに、これに対応した有限要素解析の定式化も行った。 2. 構築した冠循環数理モデルの有限要素定式化に基づく解析プログラムの開発を行った。まず、階層型冠循環モデルでは同じ節点で各階層が共存するため、膨大な節点数を有する実心臓の解析に対して、効率的解析を行うため、各階層の血液相対流量の代わりに、各階層血液の圧力を変数とするように有限要素定式化のreformulationを行った。次に、実用上の解析規模や問題対象などの要請に応じて、任意の階層数指定に対応できるようなプログラム設計を行い、プログラムの作成及びデバッグを行った。さらに、各階層血圧と体積率の関係を導入し、それに基づくコンプライアンスと血圧の関係及び剛性マトリックスを導く際に必要なコンプライアンスの微分を3次元有限要素解析プログラムに組み込み、作成した非線形有限要素解析プログラムの二次収束性を確認した。 3. 開発したプログラムを用いて、心臓の拍動と冠循環間の力学的連成を反映した数値解析を行い、本研究で提案した理論モデルを用いれば、冠循環における冠動脈(または冠静脈)血流の拡張期(または収縮期)優位などの特徴を再現でき、また臨床応用の可能性を提示し、提案した理論モデルの妥当性について検証を行った。 18年度の成果と併せて本研究の目的は達成している.その成果の一部を反映した論文は現在投稿中であり,またさらに投稿する論文の準備をしている.
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