2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症治療のための患者別全骨格力学解析手法の開発研究
Project/Area Number |
18360058
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂本 二郎 Kanazawa University, 機械工学系, 教授 (20205769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 禎也 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (50243051)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 生物・生体工学 / バイオメカニクス / 医療・福祉 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
本研究では,骨粗鬆症の患者ごとの全骨格に対する力学解析モデルを医療画像から作成して骨強度解析を行い骨粗鬆症の診断と治療に有効活用できる方法の確立を目的としている.平成20年度は以下の研究を行った. 平成19年度までの研究ではFDD(Free Domain Deformation)法を組み込んだメッシュマッチング法やベーシスベクトル法を用いて,患者別の骨のモデルを高速に作成する方法を開発した.平成20年度は,人間だけでなく,他の脊椎動物の脊椎のモデリングに対しても本手法を適用し,大きく形状が異なる骨であってもその基本的形態が同じであれば効率よくモデリングできることを明らかにした.また,個々の脊椎を対象とした患者別モデリングだけでなく,複数の脊椎からなる脊柱に対しても本手法を適用し,その有効性を確認した.圧迫骨折を伴う骨粗鬆症患者の脊椎は,標準的な脊椎と比べて大きく変形していることがしばしばあるが,そのよう場合でも本研究で開発した手法は有効であることがわかった. また,骨粗鬆症性圧迫骨折を罹患した患者の医療画像に基づいて,その姿勢を反映した脊柱の筋骨格モデルを作成し,筋骨格シミュレーションにより脊椎周辺の筋力や椎体への負荷の解析を行った.その結果から,骨粗鬆症患者の姿勢の違いが脊椎に作用する荷重に及ぼす影響を明らかにした.さらには,上記の医療画像に基づいて骨粗鬆症性圧迫骨折を有する脊柱の有限要素モデルを作成し,それと対応する筋骨格シミュレーションから得られた荷重条件を与え,臨床的な荷重条件下で各脊椎に発生する応力を求めた.この解析から,骨折部の隣接脊椎における顕著な応力増加が明らかとなり,臨床でも指摘されている隣接脊椎での二次骨折の危険性が示唆された.以上のことから,本研究で開発した,医療画像に基づく骨粗鬆症患者の脊柱全体に対する力学解析手法が,脊椎圧迫骨折の危険性を評価する上で有効であることがわかった.
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Research Products
(5 results)