Research Abstract |
最小管径生250μm程度の3次元擬血管ネットワーク構造を内部にもち,全体で90%程度の空孔率を有し,さらに生分解性樹脂からなる培養担体を粉末焼結積層造形法により造形することを目的の第1とする.さらにその有効性を実証するため,そこに増殖性の高いブタ胎児肝細胞を播種,大幅な酸素供給量向上が期待できるヘモグロビンベースの酸素供給体を用いた特殊な灌流培養法で臓器をin vitro育成することを第2の目的とする. 本年度は,市販の造形装置のビームスポット径が500〜550μmであるのに対し,350μmのスポット径を有する造形装置を試作した.ビーム系が小さくなることにより,面積あたりのパワーが高くなることから,微細な造形を実現するにはレーザパワーを低減し,重ね合わせ露光を多くすることによって,微細性を大幅に向上できることを見出した.この結果,市販の装置での縦壁の厚さの最小値が900μm程度であるところ,250μm程度の薄い壁まで造形できることが確認できた. また,KClとPCLを混合した粉末をもちいて,1cm^3の容積を持つスカフォールドを造形した.このスカフォールドの内部には最小で500μmの直径を有する微細流路ネットワークが配置されており,造形結果をマイクロCT観察したところ内部に流路が造形されていることを確認した.このことにより,担体あたりの培養密度を4倍程度の向上が期待できる. 一般にレーザスキャナのビーム径を小さくすると,ビームのスキャン可能な範囲が縮小し,結果として造形可能な造形物の大きさが小さくなる.そこで,レーザスキャナ全体を,シフトし造形範囲を拡大する機構とシステムを試作した.この結果,露光範囲を50mmx50mmから,150mmx150mmまで拡大し,大型スカフォールドの造形にも対応できるようにした.この装置を用い,実際に流路を有する多孔質体の造形にも成功した.
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