Research Abstract |
本研究の目的は,射出成形を用いた新しいRBセラミックスの製造方法を確立し,射出成形型RBセラミックスを軸受,歯車などのノンオイルトライボシステムへ応用することである.これらの目的を達成するために,平成18年度では,射出成形を用いたRBセラミックス(射出成形型RBセラミックス)を製造し,機械的性質の評価及び微細構造を明らかにするとともに,様々な環境における射出成形型RBセラミックスの摩擦・摩耗特性を明らかにした.平成18年度に得られた主な結果は以下の通りである. (1)RBセラミックス粉体を最大で85wt%配合したペレットを用いて,射出成形が可能であることが確認された. (2)水銀圧入法による細孔径分布測定の結果,射出成形型RBセラミックスは,直径80nmと直径5nmに細孔径のピークを有する多孔質構造を有する. (3)射出成形型RBセラミックスは,15GPaという低ヤング率を示す一方で,最大300MPaの圧縮強度を示し,従来の加圧成形型RBセラミックスのおよそ4.5倍の高強度を有する. (4)射出成形型RBセラミックスは,大気中無潤滑下及び水潤滑下において0.002m/s〜1m/sのすべり速度条件下で,ステンレス鋼SUS304に対しておよそ0.2あるいはそれ以下の摩擦係数を示す.また,同条件下において,10^<-9>mm^2/N以下の比摩耗量を示し,優れた耐摩耗性を有する. (5)射出成形型RBセラミックスは,大気中無潤滑下において,すべり速度の増加に対して,ほぼ一定の摩擦係数を示すことから,スティック・スリップの抑制効果を有する. (6)真空対応型ボールオンディスク摩擦試験装置を用いてSUS304に対する射出成形型RBセラミックスの摩擦特性を明らかにした,その結果,チャンバ内圧力2.0×10^<-2>Paにおいて,RBセラミックスの摩擦係数は0.03以下の極めて低い値を示すことが判った.
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