Research Abstract |
本研究の目的は,射出成形を用いた新しいRBセラミックスの製造方法を確立し,射出成形型RBセラミックスを軸受,歯車などのノンオイルトライボシステムへ応用することである.これらの目的を達成するために,平成19年度では,本研究における備品である,真空対応型摩擦摩耗試験装置を用いて,RBセラミックスの摩擦・摩耗に及ぼす真空度ならびに真空中の摩擦・摩耗に及ぼす相手材料の影響を明らかにした.相手材料には,アルミナ,ステンレス鋼SUS304,軸受鋼SUJ2を用いた.平成19年度に得られた主な結果は以下の通りである. (1)真空度0.6Pa以下では,相手材料によらず,RBセラミックスは,0.2付近の低い摩擦係数を示し,1×10^<-8>mm^2/N以下の低い比摩耗量を示す.また,相手ボール試験片の比摩耗量は1×10^<-10>mm^2/N以下の極めて低い値を示す. (2)雰囲気圧力6.0×10^<-3>PaにおけるSUS304ボールに対するRBセラミックス,及び雰囲気圧力6.0×10^<-3>Pa,2.0×10^<-2>PaにおけるSUJ2ボールに対するRBセラミックスの摩擦係数は,1.0付近あるいはそれ以上の極めて高い値を示し,また,RBセラミックス及び相手材料の比摩耗量は極めて高い値を示す. (3)雰囲気圧力2.0×10^<-2>PaにおけるSUS304ボールに対するRBセラミックス,及び雰囲気圧力6.0×10^<-3>Pa,2.0×10^<-2>Paにおけるアルミナボールに対するRBセラミックスの摩擦係数は,0.1以下の極めて低い値を示し,またこのとき,RBセラミックス及び相手材料の比摩耗量は極めて低い値を示す. (4)相手材料にアルミナを用いることにより,6.0×10^<-3>Paまでの雰囲気圧力において,優れた摩擦・摩耗特性を示すことが判った.
|