2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮膜強度の世界基準評価法を目指したマイクロスラリーエロージョン法の確立と装置開発
Project/Area Number |
18360076
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩井 善郎 福井大学, 工学研究科, 教授 (40115291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 知巳 福井大学, 工学研究科, 助教授 (80251982)
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Keywords | マイクロスラリージェットエロージョン / MSE / 硬質皮膜 / DLC / 表面モルフォロジー / 摩耗試験装置 / スクリーニング試験法 / 表面強度 |
Research Abstract |
皮膜、基材と界面を明確に分離して硬質皮膜特性を超加速試験にて評価できるマイクロスラリージェット(微小粒子を含む水噴流)皮膜評価法(MSE法)の確立を目指して、その装置と最適試験条件マップを構築するための実験研究を行い、以下の成果を得た。 1.今年度購入した三次元表面形状測定装置を用いて、摩耗面のナノスケールの表面形状を短時間に高精度で計測する手法を研究し、概ね実行可能となった。 2.MSE試験において、標準評価単位として国際的に用いられている投射固体粒子量あたりの摩耗速度で評価できようにするために、以前の研究で試作したポット式MSE試験装置を改良して、その機能と性能を検証し、ほぼ目標の性能をクリアーできた。 3.ポット式MSE試験装置をベースにさらに効率的に評価試験ができる新規なMSE試験装置を設計した。 4.PVD-TiN+TiCNとCVD-TiC+TNの各二層膜のMSE試験を行い、摩耗進行過程および摩耗速度をSFM・AFM観察、X線回折、グロー放電発光分光分析、ナノインデンテーションによる表面計測・解析結果と比較した。その結果、摩耗進行曲線は皮膜のモルフォロジーと良い対応を示し、摩耗速度は皮膜の表面強度と相関があることがわかった。このことより、MSE評価法が単層膜と同様に多層膜に対しても皮膜や界面の微妙な性質の違いを識別できることが確認された。 5.現在注目度の高いDLc膜についてMsE試験を行い、TiNやTicNなどと同様に皮膜と基材および中間層を明瞭に分離して,その摩耗速度を評価できることを見出した。 以上の結果から、MSE試験による硬質皮膜の評価法はスクリーニング試験法として非常に有用であることを確認し、最適に評価するための試験条件の選択の指針を集積した。また、さらなる発展のための試験装置を設計できた。
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