2008 Fiscal Year Annual Research Report
皮膜強度の世界基準評価法を目指したマイクロスラリーエロージョン法の確立と装置開発
Project/Area Number |
18360076
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩井 善郎 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (40115291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 知己 福井大学, 工学研究科, 准教授 (80251982)
宮島 敏郎 福井大学, 工学研究科, 助教 (60397239)
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Keywords | マイクロスラリージェットエロージョン / MSE / 硬質皮膜 / DLC / 表面モルフォロジー / 表面時系列観察法 / スクリーニング試験法 / 表面強度 |
Research Abstract |
皮膜、基材と界面を明確に分離して硬質皮膜特性を超加速試験にて評価できるマイクロスラリージェット(微小粒子を含む水噴流)評価法(MSE法)の確立を目指した実験研究を行い、以下の成果を得た。 1. バイアス電圧を変化させて成膜したダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜についてMSE試験を行い、MSE試験はDLC膜と中間層および基材を明確に区分して摩耗率を評価できることがわかった。バイアス電圧を印加しないDLC膜の摩耗率は非常に大きいが、-50Vの印加で急減する。-100V、-150Vと高くなると摩耗率は徐々に減少する。本研究で-100Vや-150Vで成膜したDLC膜の耐摩耗性はTiNに比べ1オーダー以上高いことがわかった。またMSE試験は,超微小硬さ試験では十分表せないDLC膜の膜質の違いを評価していることが示唆された。 2. 原子間力顕微鏡(AFM)を用いた試料の取外しを伴う時系列観察の手法を確立した。この手法をDLC膜のMSE試験に適用した結果、バイアス電圧を印加しないで成膜した軟らかいDLC膜は、成膜過程で形成される粒子形状の境界部に投射粒子の衝突によるき裂が発生し境界に沿って進展することで摩耗粉が発生・脱落する。これに対して、バイアス電圧-150Vで成膜した硬いDLC膜は、摩耗粉の発生・脱落によるくぼみ形状が膜のち密さによって変化しないことが示唆された. 3. CVD法で成膜された二層のTiC/TiN膜と単層のTiC膜のMSE試験を行い、TiCとTiNの各膜の摩耗強度を明確に区別して評価できるだけでなく、各膜や基材との界面での性質の違いをみいだせた。これらの結果は、GDOES分析による界面での元素の移動に複雑な化合物の形成による硬さと脆化と良い相関がみられた。 以上の結果から、MSEを用いた高感度な評価法は膜質だけでなく各膜や基材との界面での性質の評価に有用であること、また従来の国際的に使用頻度が高い薄膜評価法に対する優位性を持つことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)