2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合膜間に働く表面力の特性解明と微小機械設計への応用
Project/Area Number |
18360078
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松岡 広成 鳥取大学, 工学部, 助教授 (10314569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 茂寿 鳥取大学, 工学部, 教授 (40273883)
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Keywords | ナノマシン / 表面・界面物性 / 超精密計測 / トライボロジー / 機械要素 |
Research Abstract |
情報技術(IT)およびナノテクノロジーの応用、とりわけ情報マイクロシステムの発展に寄与するための1つの方向性として、複数の任意の物質で構成されるナノ複合膜間の表面間相互作用に関する理論的解明,計測手法の開発,さらには実際の微小機械に対する解析手法,設計手法の確立などが挙げられる。本研究課題は、ナノ複合膜間に働く代表的な表面力の1つであるファンデルワールス力の特性およびそれが微小機械の挙動に与える影響を実験的・理論的に解明することを目的とする。 平成18年度の研究実績は、以下の通りである。(i)固体基板上の超薄膜の1つのモデルとしてLB膜に着目し、均一な膜を作るための条件を確立するとともに、エリプソメータを用いて膜厚さを精密測定し、LB膜の層数と膜厚さの関係を明らかにした。(ii)原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーとして先端に半径2.5μmの微小なガラス球を取り付けたものを用い、ハードディスク表面のDLCとの間の表面間力を、AFMを用いて精密に測定した。その結果、雰囲気の湿度の上昇により水分が接触円近傍に凝縮し、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)とガラス球間にメニスカス架橋を形成するため、フォースカーブの形が大きく変化することを見出した。(iii)AFMカンチレバーの振動特性を理論解析し、チップ・試料表面間の相互作用による力勾配を精密に求めるための補正手法を確立した。その結果、従来の手法では、力勾配を最大15%程度過小評価していたことがわかった。(iv)ナノ複合膜で構成されるヘッド・ディスクインターフェース(HDI)を対象とし、浮動ヘッドの振動による液体超薄膜表面の安定性解析を、空気膜動特性の周波数依存性とファンデルワールス力を考慮して行い、基本的な特性を明らかにした。 以上のように、当該研究課題の遂行のために必要な基本的検討を、理論的・実験的に推進した。
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Research Products
(6 results)