Research Abstract |
人々の生活および価値観が多様化していく現代社会においては,生活の豊かさ,利便性の追求に伴い,多種多様な有害物質が人間を取り巻く環境に排出されている.中でも,水環境の悪化は,その地域や産業に依存した複雑な汚染形態を有し,極めて深刻な問題となっている.このように水環境が急激に悪化していく状況下,地域依存性や産業依存性が大きい種々の廃水に対して,個別に適用可能な汎用性が高い水処理技術の開発が,強く望まれている. 本研究では,水環境中に含まれる衛生危機因子除去のために,直径100ミクロン以下の超微細気泡(以下,マイクロバブルと呼ぶ)を用いて,効率的に水処理を行なう方法について検討する.すなわち,マイクロバブルを水処理システムに適用した際に,マイクロバブルの有する多機能性を活かし,従来型の手法とは異なる新たな水処理法を提案することを目的とする. 実際の水処理システムでは,多くの場合に,処理水槽へのマイクロバブルの注入により水面には大量の泡(フォーム)が形成され,このフォームの挙動が重要となる.特に浮上分離システムでは,水面に形成されたフォームが厚い層を形成し,この層の中におけるフォームの成長と崩壊の過程において除去成分の濃縮が行なわれる.本年度は,曝気槽内の下方にあたる気泡流の部分から,上層でフォームが形成されるための条件について,表面活性剤の種類や濃度を変化させて実験を行った.さらにフォーム中を移動する微粒子の挙動を可視化するシステムを構築し,水分を多く含んだ湿った泡と,水分の少ない乾いた泡における微粒子の挙動の違いを確認した.
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