2006 Fiscal Year Annual Research Report
微細表面テクスチャを有する樹脂成形品の自己組織化的自発変形を利用した成形法の検討
Project/Area Number |
18360100
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 勲 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10170721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 卓志 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (20302937)
川口 達也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (40376942)
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Keywords | 微細表面テクスチャ / 成形 / 自己組織化 / そり変形 / 急加熱・急冷却 / 形状制御 |
Research Abstract |
本研究課題では、型形状の転写のみによらずに微細表面形状を持つ成形品を得る新規な成形手法を考案し、その実現可能性・製品適用性を検討することを目的としている。具体的には、大面積で比較的単純な形状のテクスチャが繰り返し附形される製品をターゲットに、溶融材料の急冷却による固化層のそり変形と、材料の急加熱・冷却による密度変化を利用して、成形材料表面に規則的なテクスチャを形成することを試みた。研究初年度に当たる本年度は、それぞれについて以下の知見を得た。 (1)溶融材料固化層のそり変形に基づく自己組織化的自発変形の制御に関する検討: 材料の自己組織化的自発変形として、プラスチック射出成形の分野でフローマークと呼ばれる成形不良の発現要因である溶融材料固化層の周期的そり変形を積極的に利用して、成形品表面テクスチャの形成を試みた。種々の成形材料・成形条件でこの原理に基づく成形品表面での自発的変形を発現させ、その形状を評価した結果、表面形状の曲率(高さとピッチの比)は、従来提示されているモデル式とよく合致すること、溶融樹脂充填中に流動先端速度や型・樹脂の接触界面温度を変化させても、その時々の条件におけるモデル式の結果に対応する形状が附形されることが示された。このことは、溶融樹脂流動先端における型との接触線上での条件を変化させることで、附形される形状の曲率をコントロールできることを示唆している。 (2)材料の急加熱・冷却による密度変化に基づく材料表面変形の制御に関する検討(齊藤、川口): プラスチック材料をレーザーでパルス加熱したときの材料の急加熱・冷却による密度変化に基づく表面変形について、加熱条件と変形挙動との関係を実験的に検討した。その結果、照射レーザー強度を適切に選定することで、プラスチック基板表面に変形を生じさせられること、照射レーザー強度を増加させるにつれて、表面形状は凸型から凸表面の中心にくぼみを持つ形状、さらに凹型に変化すること、変形の大きさや凹凸の変化するレーザー強度は基板のプラスチック材料によって変わることが示された。このことから、比較的単純な形状であれば、この方法によって製品表面形状を制御できることがわかり、(1)の自己組織化的自発変形による附形を能動的に制御する方法としての適用可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)