2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱電素子により通電される1テスラ級高温超伝導マグネットの開発
Project/Area Number |
18360101
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡村 哲至 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (10194391)
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Keywords | 熱工学 / 熱電素子 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
1テスラ級の高温超伝導コイルを熱電素子に接続したときに、コイルへの熱侵入量が小さく、しかも大きな電流を流すことのできる熱電素子の形状について、今までに開発した解析コードによって検討を行ない、その形状を決定した。素子の材質はBiTeで、2cm四方で厚みが1.5mmである。 製作した熱電素子を高温超伝導に接続した短絡実験を行った。素子の高温側ヒーターで29Wの加熱を行なったとき、起電力1.5mV、通電電流値243Aが得られた。このときの熱電素子の両端の温度は87Kと48Kであった。これらの値は、解析から予測された値とほぼ一致した。 熱電素子の研究と並行して、1テスラ級の高温超伝導コイルを設計・製作した。コイルの表面だけではなく芯も十分冷やすために、3個のダブルパンケーキを積層し、各ダブルパンケーキ間とコイルの表面に冷凍機からの冷却伝熱板を挟む構造とした。 選定した高温超伝導線は、高強度Bi2223銀シース線材で、平均線材幅:4.2±0.2mm、平均線材厚み:0.22±0.02mm、臨界電流値:>110A(1μV/cm、77K、Self-field, End-to-end)、N値:>16(77K、10^<-9>〜10^<-6>V/cm)、許容引張強度:170MPa(室温)、210MPa(77K)、許容曲げ直径:50mm(室温)である。 コイル完成後、GM冷凍機の冷却ステージとコイルを接続し、まず所定の温度にコントロールできるかを確認した。その後、既存の外部電源によって励磁実験を行った。この実験により、50K以下において、パンケーキコイル間(2箇所)と口出し部(2箇所)の接続抵抗が、合計で0.36μΩ以下であることを確認するとともに、測定電圧範囲10^<-9>V/cm〜10^<-6>V/cmにおいてI-V特性や臨界電流値などの基礎特性を計測し、熱電素子と接続して通電実験が行えるコイルであることを確認した。
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