2006 Fiscal Year Annual Research Report
微細流路における強制流動沸騰熱伝達の現象解明と熱伝達特性の改善に関する研究
Project/Area Number |
18360103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大田 治彦 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (50150503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 宜之 産業総合研究所, エネルギー技術研究部門, 宇宙技術グループ長 (10356371)
新本 康久 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (30226352)
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Keywords | 微細流路 / 沸騰 / 熱伝達 / 混合媒体 / 自己浸潤性 |
Research Abstract |
微細管内強制流動沸騰熱伝達実験装置の設計・製作・改良を行い、単一管を対象として、テスト部熱損失、熱伝達データの計測精度、観測系、実験データの評価について予備実験を行った。単成分媒体の微細管内強制流動沸騰熱伝達に関する実験条件に関して実験装置の諸元から検討を行った。また熱伝達係数測定に関する実験精度の検討を行った。とくに重要となるのは入口流量変動と熱伝達データとの対応関係であり、これに関して新たな実験データとそれに関する知見を得た。代表的な結果としては、微細管内では上流方向への気泡成長により、入口での供給液体の流動変動を生じる場合には、二相強制対流域で熱伝達劣化が認められ、これが従来しばしば微細管固有の熱伝達特性として評価されてきた可能性(単に実験条件設定が甘いための結果と見做される)が高いことが明らかとなった。入口での供給液体の流量変動を最小限に抑えた場合には、二相強制対流域での熱伝達劣化は認められず、定性的には通常管の場合と同じ熱伝達挙動が得られた。 単成分媒体の微細管内強制流動沸騰熱伝達に関して、熱流束および質量速度をパラメータとし、乾き度の変化に伴う熱伝達係数の変化について系統的なデータを得た。このデータをもとに管内部での気液挙動を推定して、熱伝達との関連について合理的な説明ができるようにした。 複数のアルコール水溶液の混合媒体について、相平衡データによる低沸点成分の最小可能濃度、および最大可能界面温度に関する検討、表面張力データの整理、濃度差による表面張力勾配の最大値、温度差による表面張力勾配の最大値について具体的な計算を行った。これらの混合媒体を微細管内強制流動沸騰に適用する前に、空間的制約のないプール沸騰実験を行い、濃度による熱伝達係数の変化について、とくにマランゴニ効果による給液促進が期待できるアルコールの低濃度域で明らかにした。予測に反して、混合媒体においても熱伝達促進が生じる濃度域が存在するという新たな知見を得た。熱伝達促進と劣化の共存という新たな考えに基づいて混合媒体の熱伝達に関する簡単なモデル化を行った。 微細管の強制流動沸騰熱伝達実験の供試体として、実機に近い多チャンネル微細流路について仕様の検討を行い、設計、試作を行った。さらに熱伝達特性を把握するために計測システムの構成を検討し、設計・製作を行った。
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