2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外凍結条件における細胞の複合的損傷特性の解明およびその数学的モデル化
Project/Area Number |
18360105
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30176177)
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Keywords | 凍結保存 / 細胞損傷 / 電解質水溶液 / 溶液効果 / 暴露濃度 / 暴露時間 / 暴露温度 / 数学的モデル化 |
Research Abstract |
細胞外凍結の要素現象として、凍結過程における未凍結水溶液の濃縮による電解質濃度の増加に注目し、低温と電解質濃度の影響を独立に基礎的に調べた。すなわち、0℃から-20℃(NaCl水溶液の共晶点近傍)の低温範囲で高張NaCl水溶液に暴露した場合(等張→高張→等張)に、種々の暴露条件(電解質濃度、暴露時間、暴露温度)(ただし、温度や濃度の変化速度は各々一定)に対して、細胞の損傷・死滅特性を解明すると共に、暴露過程における細胞の形態変化を調べた。具体的には、以下のようである。 1)電解質(NaCl)水溶液の灌流により、細胞(ヒト由来前立腺ガン細胞株PC-3)まわりの温度・濃度条件(25℃・等張)→(暴露温度T℃・高張(暴露NaCl濃度C_m、暴露時間30min))→(25℃・等張)を課し、細胞の損傷・死滅特性として、細胞の生存率(死滅率)を計測した。暴露濃度(最高到達濃度)C_mを3.0,4.0Mの2通り、暴露温度(最低到達温度)Tを25〜-15℃の8通りの条件とした。温度・濃度変化履歴は、基本的には(25℃・等張)→(T・等張)→(T・高張)→(T・等張)→(25℃・等張)で、温度変化速度は5.0℃/min、濃度の変化速度は1.2M/minとするが、この過程で過冷却が発生する場合には、NaCl水溶液の液相線に沿って、温度と濃度を従属的に変化させた。 2)1)の結果から、細胞の生存曲線、死滅の確率分布関数の統計的特性を求め、生存率に対する暴露温度・濃度の影響を明らかにした。また、生存率は、温度低下に対して極大値をもつ特徴的な分布特性を持つことを明らかにした。 3)1)の過程における細胞の形態の変化特性を明らかにした。
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