2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外凍結条件における細胞の複合的損傷特性の解明およびその数学的モデル化
Project/Area Number |
18360105
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (30176177)
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Keywords | 凍結保存 / 細胞損傷 / 電解質水溶液 / 溶液効果 / 暴露濃度 / 暴露時間 / 暴露温度 / 数学的モデル化 |
Research Abstract |
高張電解質水溶液による細胞損傷・死滅に関して、低温と電解質濃度、および、その暴露時間に対する細胞の生存率の実験データ(平成18年度)に基づいた、生存率レベルでの現象論的モデルを構築した。これを基に、暴露条件(温度と濃度)が非定常的に変化する一般的な場合、および、水溶液の液相線に沿って温度と濃度が従属的に変化する場合に適用できるモデルを展開した。具体的には、以下のようである。 1.仮定: 1)細胞の損傷・死滅過程は一種の反応速度論的変化として記述できる。2)細胞の状態として、元気な状態、弱った状態(中間状態)、死んだ状態を考える。3)反応速度論的変化として、元気な細胞が弱った状態を経て死に至る。4)各状態の細胞の暴露時間に対する変化速度は一次反応系で表される。 2.モデル: モデル1では、元気な細胞が、直接、死んだ細胞へと変化する。モデル2と3では、1段階の中間状態を考慮し、2つの状態間の変化速度定数を、モデル3では独立に扱うのに対して、モデル2では等しいとする。モデル4では、2段階の中間状態を考え、各状態間の変化速度定数が等しいとする。なお、各状態の細胞数の時間に対する変化速度は、関連する状態の細胞数に比例し、各モデルの基礎方程式は、一階線形連立常微分方程式により表される。変化速度定数は、細胞の生存率の実験値に一致するように逆問題解析の解として決定される。 3.暴露条件が非定常的に変化する場合の一般化:2.の各モデルに対して、温度・濃度変化の経路に沿って、各状態の細胞数の保存式を時間積分し生存率を計算する。その解析解は、反応速度定数と等しい数の未定定数を含み、等暴露条件での実験結果との比較から、未定定数が決定される。 平成20年度に計画されている実験の結果に基づいて、3.のモデルの妥当性を検討すると共に、必要に応じてモデルの改良を行う。
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