2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外凍結条件における細胞の複合的損傷特性の解明およびその数学的モデル化
Project/Area Number |
18360105
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 Kyushu Institute of Technology, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (30176177)
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Keywords | 凍結保存 / 細胞損傷 / 生存曲線 / 細胞外凍結 / 冷却速度 / 数学的モデル化 / 反応速度論的モデル / モデル定数 |
Research Abstract |
細胞内凍結を伴わない細胞外凍結による細胞損傷・死滅に対して、1)凍結・融解後の生存率を実験的に明らかにすると共に、2)1)の結果に基づいて、凍結・融解後の生存率を予測するための数学モデルの構築を行った。 1)死細胞数に対する凍結様式の内訳の測定 懸濁細胞(ヒト由来前立腺ガン細胞株PC-3、懸濁用NaCl水溶液、凍結保護物質DMSO(ジメチルスルポキシド))に対して、凍結・融解(顕微鏡用冷却/加温装置による一様温度分布凝固)を課す。冷却速度を変化させ(加温速度=冷却速度、最低到達温度=一定、最低到達温度での保持時間=一定)、凍結・融解後の死細胞数を求める(細胞膜の色素排斥能の評価による細胞の生死判別)と共に、細胞内凍結による死細胞数を求めた(細胞内凍結の発生)。従って、直接、測定された両細胞数の差から細胞外凍結(細胞内凍結を伴わない)による死細胞数を算出し、その特性を明らかにした。 2)反応速度論的モデル化の展開 昨年度(平成19年度)まで、高張電解質水溶液による細胞損傷・死滅に対して展開してきた反応速度論的モデルを、凍結(細胞外凍結)・融解による細胞の損傷・死滅に適用・発展させた。元気な細胞(正常細胞)が、弱った状態(損傷を受けているが、死んでいない中間状態)を経て、死細胞に変化するという速度論的概念の下、細胞損傷・死滅の速度定数が、時間と共に変化する場合の解析解を元に、モデル定数として、1)細胞損傷・死滅の速度定数の、凍結に関わる温度範囲に渡る積分値、および、2)細胞膜の水透過性に対応する冷却速度(細胞膜の水透過が追従できなくなりはじめる冷却速度)を定義することにより、生存率の予測式を導出した。モデル定数の各値について、冷却速度に対する生存率の変化の特性を明らかにした。引き続き、本結果を1)に連結する。
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