2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテク・インフラ工学における超静粛化制御に関する研究
Project/Area Number |
18360113
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 信雄 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (70305423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 宏之 首都大学東京, システムデザイン学部, 研究員 (90404938)
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Keywords | 無振動状態生成 / クラスタ制御 / スマートストラクチャ |
Research Abstract |
本年度は,クラスタ制御およびスマートストラクチャの観点から騒音が全く生じない無振動状態生成に関する研究を重点的に行った.さらに,3次元閉空間における振動場と音響場の連成に注目し,その特性を考慮した能動制御法を提案した.主な成果をまとめると以下のようになる. (i)パワーフローおよびActive boundary control(ABC)の観点から,薄肉平板構造物において無振動状態を生成する手法を提案した.ABCの場合,伝達マトリクス法とモーダルフィルタの概念を導入することによって,適応型フィードフォワード制御系を構築し,その有用性を理論的・実験的に示した.また,パワーフロー制御の場合,クラスタ制御および差分法によるパワーフロー計測を組み合わせることで,構造物のある領域に無振動状態を生成する手法を提案した.この場合も,ABCと同様に実験において良好な結果を得ることができた. (ii)スマートストラクチャを指向し,スマートセンサ・スマートアクチュエータによる平板構造物の振動モード制御法を提案した.従来の振動制御法は,ポイントセンサ・ポイントアクチュエータを基調としているため,分布定数系構造物の振動制御を行う際に観測・制御スピルオーバ現象が問題となる.しかし,提案した手法はセンサ・アクチュエータ自身が特定の振動モードのみを検出・加振できるので,スピルオーバ現象を完全に回避することができる.したがって,当該制御系は非常に簡素でロバスト性の高いものとなる.本課題では,当該手法の有用性を理論および実験の観点から明らかにした. (iii)閉空間場における騒音と振動の連成現象の解明を試み、いくつかの知見を得た。たとえば、閉空間場における音響ポテンシャルエネルギを支配する因子は、構造場における固有モードではなく、音場における固有モードとマッチングする構造モードであり、それによって新たに作り出される構造音響クラスタであることが判明した。とりわけ、音の抑制が難しい低周波数領域においては、音場における剛体モード(000モード)と構造場における奇数・奇数モード群とで新たに生成されるクラスタである。したがって、その属性を認識せぬまま単に振動制御なり音響制御を適用しても効果を生むことはない。また、一面が弾性壁、他の5面が剛壁で構城されるレクタンギュラキャビティを対象として、強連成場における音響モード関数の解明に取り組んだ。ちなみに、この解析解の導出に成功した例はない。この問題の難しさは音場と構造場の境界条件のすりあわせにあり、本研究においては境界面上の速度ポテンシャル関数と構造場における振動エネルギのバランスを斟酌することにより解を得つつある。
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