Research Abstract |
人の日常動作により,ロータを3次元回転させる高効率な発電機を製作し,理論と実験により以下を確認した. 1.理論解析 (1)ロータの運動解析:ロータの自転,歳差運動,発電機の揺動,電磁ダンピングを考慮した運動方程式を導出した.電磁誘導効率と安定回転条件とから,発電量最大となる電磁ダンピングを求めた. (2)磁気回路の設計:3次元運動するロータに適した磁石,コイル配置を明らかにした.コイルはロータの歳差運動面に固定し,永久磁石は磁極数を2,6,10・・としてロータ上に固定する配置を考案した. 2.実験装置の製作 (1)発電機:リング状トラックの上をロータが3次元に転がり運動する発電機を製作した.トラックの摺動部にはポリアセタールを,転がり部にはアクリルを用い,軸との摩擦係数をかえた.製造の容易さからロータ上の永久磁石数は6とした. (2)振動入力装置:安定な振動変位を発生する装置を製作した.まず,模型用モータと3節リンクによる簡便な機構を製作し,ついで,市販の回転ステージを速度・位置制御する精密な機構を製作した. 3.実験による理論の検証 (1)ロータ運動解析の検証:安定回転限界を与える電磁ダンピングを測定した.コイルに種々の外部抵抗を接続して,安定限界の入力振幅を測定した.実験値,計算値とも,抵抗が大きいほど振幅が大きくなり,両者は定性的に一致した. (2)発電量の測定:人体運動による発電量を測定した.入力振動2Hz,振幅30度において,1.1W発電した.従来の腕時計用発電機に比べ,出力で10万倍,体積効率で300倍である. 4.当初計画との関係 当初は2次元回転型を製作し,それを改良して3次元型を製作する予定であったが,3次元型の目処が年度当初に立ったので,2次元型は扱わなかった.
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