Research Abstract |
ジャイロ型発電機の安定化と実用性の確認のため,以下を行った. 1.安定化 ロータ運動の過渡応答の数値計算,近似計算,それらの実験による検証を行い,以下の結論を得た. (1)安定なロータの歳差運動は,入力振動と周期が等しく振幅が一定の振動成分と,入力より1桁長い周期をもち振幅が減衰する振動成分からなる,前者はトラックの角速度が変化するために発生するもので,単振動系の強制振動に対応する.後者はロータの軸回りの慣性トルク,粘性トルク,ジャイロトルクの釣合いにより発生するもので,自由振動に対応する. (2)発電機の構成と入力振動が同一でも,初期条件によって回転が安定な場合と不安定な場合がある.初期条件が定常状態に近いほど安定になり易い. (3)ロータに加わる粘性減衰が小さいほど,ロータの軸回りの慣性能率が大きいほど,トラックとロータ軸の半径比が小さいほど,回転が安定になり易い。 (4)回転が安定な系ほど,減衰振動の周波数が高く,減衰比が小さい. (5)安定かつ高出力な発電機の設計には,ロータは球状が最も良く,半径比は30程度がよい.減衰比は安定限界に設定するのがよい. (6)ロータのインピーダンスを変化させることで,不安定になったロータ回転を安定化することが出来る. 2.試作機の改良 試作機の機構部に市販のダイナビーを利用し,ロータの摩擦と不釣合いを低減した.またコイル巻き数を最適化し,整流回路を接続して,実際め携帯情報機器への適用可能性を確認した. (1)3Hz,30度の入力振動により,ロータ速度6000rpm,無負荷電圧67Vpp,負荷500Ω時出力0.9Wを得た. (2)上記条件で整流回路を接続し,市販携帯電話の充電が可能なことを確認した.
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