2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ嗅覚センサを搭載した犬型ロボットによる匂い・ガス源の探索
Project/Area Number |
18360120
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石田 寛 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (80293041)
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Keywords | ロボット / バイオセンサ / ガスセンサ / 表面プラズモン共鳴 / 金属ナノ構造体 / ガス源探知 / 乱流拡散 |
Research Abstract |
初めに、ロボットの嗅覚として用いる表面プラズモン共鳴(SPR)センサの改良を進めた。昨年度までに、金属ナノ周期構造体をSPR励起媒体として用いたセンサを開発した。LED光源を用いて容易にSPRを励起することができるため、5cm角の小型センサモジュールを開発することができたが、ロボットに搭載する際には環境光が入り込まないように遮光して用いる必要があった。今年度は、ロックイン計測用にワンチップマイコンを搭載した4cm角のSPRセンサモジュールを作製した。LED光を変調し、金属ナノ周期構造体からの反射光のうち、変調に同期した成分だけを取り出す。この結果、蛍光灯のように明滅する照明の下でも遮光を施すことなしにガス検出を行うことができた。 また、金属ナノ周期構造体にガス感応膜を塗布し、化学物質を選択的に検出することを試みた。シクロデキストリン膜を付加してブタノールガスに対する応答の選択性を向上したSPRガスセンサをロボットに搭載し、ブタノールガス源の選択的検出に成功した。同様の原理を持つSPRセンサを水中化学探査ロボットに搭載し、水中に溶解した化学物質を検出することにも成功した。 さらに、昨年度に開発した能動ステレオ嗅覚センサシステムを犬型ロボットに搭載し、ガス源を探索する実験を行った。提案したシステムでは、能動的に空気を吸引・排出することにより左右のガスセンサの応答差を拡大し、匂い源の方向判定を容易にする。段ボール箱の側面に空けた穴からガスが漏れている状態で、穴の位置を突き止める実験に成功した。一方、空港のような大規模空間では風向風速計を用いてガスを運ぶ気流を測定し、ガス源が存在すると思われる領域を絞り込む方法が有効であることが分かった。ガス源が存在すると分かった領域に能動ステレオ嗅覚センサを持ち込むことにより、ピンポイントにガス源の位置を突き止めることができると期待される。
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