Research Abstract |
人間の行動はそのときの関心対象に対して起こされるものであり,行動するにあたっては関心対象に合わせた作業座標系が持つとされている.そして,人間は視覚を重視するため,この作業座標は視作業に強く関連する.そのため,視作業を計測することにより,関心対象に関する情報が得られると考えられる. 本研究では,行動予測のために関心対象を計測することを目的としている.関心の強さが視作業の中でも特に視界中心を切り替える頭部運動に現れると考え,頭部運動計測システムを構築し計測できることを確かめた.具体的には頭部運動に関係しない首上の1点と,前後傾,回旋運動方向に頭部を動かす際の変位が生じると思われる頭部上の2点との距離を計測することで,それぞれの変位から頭部運動の角度を計測した.センサには柔軟変位センサ2個を用い,ロール角方向動作の影響が少なくなるようセンサの設置位置を選んだ.また,生活中の計測を目標とするため,システムは電源も含め,身に着けて非拘束で計測できるように構築した.センサ出力データは小型のデータロガーを通して無線LAN経由でPCへ送り,角度への変換や記録を行った. このシステムを用いて頭部運動に関心の強さが現れること確かめるために,視標を提示し眼球運動と頭部運動を計測する実験を行った.その結果,ウェアラブル頭部運動計測システムを用いて関心の強い方向を計測できることがわかった.ある程度の周辺環境情報があれば,頭部運動から関心対象が推測できると考えられた. 今後,関心対象の判定や,一過的な関心と持続する関心を区別出来るよう研究を進め,行動予測へとつなげる.また,生活者の行動を計測するために,姿勢やロール角方向の運動にも対応できるようシステムの拡張を行いたい.加えて,適切な視界中心を設定することで周辺環境情報の処理などが効率よく行われることを確かめたい.
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