2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル系強磁性エピタキシャルへテロ構造の製作とスピン制御デバイスの研究
Project/Area Number |
18360143
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 眞史 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (10322835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 哲也 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (20344476)
松田 健一 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (80360931)
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Keywords | 強磁性トンネル接合 / トンネル磁気抵抗 / ホイスラー合金薄膜 / ハーフメタル / エピタキシャル成長 / スピントロニクス |
Research Abstract |
本研究では、ハーフメタル系強磁性体を用いたエピタキシャルヘテロ構造を技術の核として、新しい概念のスピン制御デバイスを創出することを目的としている。平成18年度は、そのためのデバイス基盤技術の確立を具体的な目標とし、以下のような結果を得た。 1)本研究グループのオリジナル技術であるハーフメタル系ホイスラー合金(Co_2YZ)薄膜を用いたエピタキシャル強磁性トンネル接合(MTJ)の高性能化のためのアプローチとして、本来の組成がCo_2(Cr_<0.6>Fe_<0.4>)Al(略称CCFA)の薄膜の組成を、化学量的組成に近づける検討を行った。この結果、トンネル磁気抵抗(TMR)比として、室温で90%、低温4.2Kで240%の良好な値を実証した。 2)さらに、下部電極Co_2YZ薄膜/MgOトンネルバリア/上部電極Co_<50>Fe_<50>薄膜からなる層構造のMTJに対して、上部電極Co_<50>Fe_<50>を4層構造Co_<50>Fe_<50>/Ru/Co_<90>Fe_<10>/IrMnの中に組み込み、反強磁性体IrMnにより上部電極に交換バイアスを印加する層構造を開発した。この技術をCCFA/MgO/Co_<50>Fe_<50>三層構造MTJに適用し、1)項に記載のTMR比をさらに上回る、室温で109%、低温4.2Kで317%の高いTMR比を実証した。 3)Co_2YZの中で、理論的にハーフメタルと指摘されている代表的な物質の一つであるCo_2MnSiを用いた、エピタキシャル構造でかつ交換バイアス型のCo_2MnSi/MgO/Co_<50>Fe_<50> MTJを製作し、TMR比として、室温で90%、4.2Kで192%の良好な値を実証した。2)と3)の結果を合わせて、ハーフメタル系ホイスラー合金薄膜とMgOトンネルバリアを用いた、エピタキシャル構造の交換バイアス型MTJデバイス技術を確立し、良好なトンネル磁気抵抗特性を実証した。
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