2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨大交換磁気異方性のメカニズム解明と高性能マンガン基反強磁性材料の開発
Project/Area Number |
18360144
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 匡清 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80250702)
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Keywords | 交換磁気異方性 / スピンエレクトロニクス / ハードディスク / MRAM / 磁気異方性 / XMCD / 反強磁性 |
Research Abstract |
強磁性/反強磁性積層膜で観測される交換滋気異方性は、強磁性体のスピンが一方向に固着される現象であり、磁気ランダムアクセスメモリを始めとするスピントロニクスデバイスや超高密度磁気記録用スピンバルブヘッド等に実用化されている。本研究の目的は、近年我々のグループで導出に成功した巨大交換磁気異方性(J_k=1.3erg/cm^2)の発現機構の解明を通じて、交換磁気異方性の機構解明とそれに基づいた高性能材料開発を行うことであり、1.積層膜の微細構造と交換磁気異方性との相関の明確化、2.軟X線磁気円二色性元素選択性磁化測定による反強磁性層のスピン構造ならびに磁化過程の解明、 3.交換結合膜のミクロスコピック解析モデルの構築と高性能交換結合膜材料の理論設計、 4.理論設計された実用交換結合膜材料の作製と実証、を行う。本年度は下記の成果を得た。 透過法磁気円二色性(XMCD)スペクトル計測により、反強磁性層の積層界面1〜2MLの領域に誘導される非補償スピン成分を評価した。反強磁性層をMn-Irに固定し、強磁性層をCo-Fe合金としてその組成を変化させた結果、非補償スピン成分の大きさならびに符号が強磁性層材料組成に対して変化することが明らかとなった。同積層膜で観測される交換磁気異方性の大きさも、強磁性層合金組成に伴って変化することから、両者の間に何らかの相関性があることが明らかとなった。これらの検討から、界面スピン構造の制御によって交換磁気異方性の増強が可能と考え、Mn-Ir/Co-Fe積層膜界面に2ML程度のMn層を挿入することによって、交換磁気異方性の大きさがおよそ2倍になることを見出した。詳細に調べた、交換磁気異方性の反強磁性層組成依存性から、挿入したMn層は、バルクとは異なってMn-Ir層のfcc構造をトレースするために3Qスピン構造を有していることが示唆された。
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