2007 Fiscal Year Annual Research Report
実用環境を模擬した磁界・機械歪の影響下における超伝導線材内局所損失の可視化
Project/Area Number |
18360153
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木須 隆暢 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究科(研究院, 助教授 (00221911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昌睦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (80346824)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 超伝導線材 / 機械歪み特性 / 可視化 / 計測工学 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
平成19年度の主な研究成果は以下のとおりである。 (1)昨年度開発した、超伝導線材の歪み特性試験装置を用い、最大5Tまでの外部磁界下における、一軸引張・圧縮歪印加時の超伝導特性の変化について、実験的に調べた。その結果、(1)磁界の増加に伴い、機械歪みに対する臨界電流値の減少率が高くなるが、臨界電流値が25%程度減少しても可逆的な特性が得られる。(2)実験により得られた電流-電圧特性に対してパーコレーションモデルに基づくピンニング特性の解析を行ったところ、転移磁界の機械歪み依存性を考慮することにより、任意の機械歪み率、磁界の条件下における臨界電流特性が推定可能となることを明らかとした。 (2)Ni配向基材上に作製したRE123高温超伝導線材の結晶粒界構造を、レーザ走査熱電顕微鏡によって可視化すると共に、超伝導状態における磁束フロー損失の発生を低温レーザ顕微鏡によって観測したところ、試料を横切る結晶粒界に沿って損失が局所的に発生する様子を明らかとした。 (3)小傾角結晶粒界の振る舞いをさらに詳細に調べるため、人為的なバイクリスタル基板上に作製した傾角を6°に制御した単一結晶粒界を用いた測定を行った。SQUID磁気顕微鏡により、粒界の電流分布の不均一性を明らかとすると共に、高磁界型低温レーザ顕微鏡により、損失分布の空間変化を測定し、外部磁界の影響下における粒界での損失発生機構を解明した。すなわち、高空間分解能計測によって、通常の四端子法によるマクロな通電特性の測定では検出不可能な、粒界部分とバルク部分での損失を分離することに成功し、磁界の増大に伴う、粒界部分のボルテックスダイナミクスの変化を明らかとした。
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