2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360166
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉川 信行 Yokohama National University, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 教授 (70202398)
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Keywords | 超伝導集積回路 / 単一磁束量子 / ナノデバイス / ジョセフソン素子 / 超高速論理回路 / SFQ / インダクタンス / 位相量子 |
Research Abstract |
超伝導体中の量子化磁束を情報担体とする単一磁束量子論理回路は、高速性、低消費電力性に優れるが、超伝導インダクタンスを用いて磁束を保持するため、原理的にゲートサイズは数μm程度に制限される。これに対して本研究で提案する位相量子論理回路は、ジョセフソン接合の位相差を用いて磁束を保持するため、原理的に数十nm程度のサイズの論理ゲートが作製できる。 本研究では、Nb集積回路プロセスを用いてナノスケール集積化が可能な位相量子論理回路の原理実証と設計方法論の確立を行ない、演算回路やメモリシステムの試作を通して回路の基本特性を明らかにする。これにより、将来における位相量子論理回路の高集積性を明らかにする。 本年度は、昨年度に設計し基本動作を確認した伝送線路、パルス合流回路、分岐回路、Dフリップフリップ等の基本ゲートを用い、メモリの構成要素であるシフトレジスタを試作し、その動作実証を行った。これにより、提案する位相量子論理回路は、既存の単一磁束量子回路と同等の広い電流バイアスマージンで動作すること、ならびに従来のシフトレジスタに対して大幅な回路面積の低減が可能であることを明らかにした。また、次世代のNb集積回路プロセスを念頭に、高密度メモリセルの設計を行った。これにより、位相量子論理回路を用いることにより、既存の単一磁束量子回路の集積度を超える最も高集積なメモリセルが実現できることを示した。以上により、単一磁束量子を情報担体としたナノメータスケールの回路の実現に向けて、原理的な妥当性を示すことができた。
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Research Products
(5 results)