2007 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネル素子を用いたサブTHzサンプリングΔΣA/D変換器の研究
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18360168
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前澤 宏一 University of Toyama, 大学院・理工学研究部, 教授 (90301217)
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Keywords | 共鳴トンネル / アナログデジタル変換器 / 識別器 / 電圧制御発振器 / 線形性 / 周波数変調信号 |
Research Abstract |
本研究は共鳴トンネル論理ゲートMOBILEを用いて、高性能なADCの実現を目指したものである。高感度で高速サンプリングが可能というMOBILEの特徴を活かすために、FM中問信号を用いた新しいΔΣ変調方式を採用した。この方式は動作速度を制限するフィードバックDACが存在しないため、高速化に適している。 まず、サンプリング周波数の向上を狙い、対称型MOBILE(SMOBILE)を提案した。これは従来のMOBILEを高周波クロックで動作させたときに問題となっていた、出力電流の影響を抑制し、高い周波数まで安定した動作を可能とするものである。シミュレーションの後、試作回路を測定し、100GS/sが可能であることを実証した。 次に出力がRZモードであり、従来回路との整合性が劣るというMOBILEの問題点を解決するためにNRZモードMOBILEを提案した。その基本動作を回路シミュレーションで確認した後、FMDSMへの応用を検討した。パワースペクトルを計算し、良好なノイズシェーピングが確認できた。また、HEMTのしきい値ばらつきによる影響を調べ、しきい値から±0.1Vの閾値余裕が確認した。この値はこれまでに報告されているしきい値ばらつきの値より十分大きく、本回路構成の有効性が確認できた。なお、ここで提案したNRZ-MOBILEはSMOBILEに応用することも可能であり、これにより従来にない高いサンプリングレートが期待できる。また、NRZモードMOBILEの応用例として並列型周波数ΔΣ変調器についてのシミュレーションを行った。簡単な回路を用いた並列化によりさらに高いSNDRを得られることを示した。 最後に、FMDSMの問題点である、VCOの線形性について検討した。二つのVCOを相補型の信号で駆動し、サンプリング、エッジ検出の後、その信号の差をとることで2次の高調波を低減でき、高いSFDRを得られることを実証した。
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Research Products
(2 results)