2008 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導トンネル接合を用いたマイクロ波、ミリ波雑音源の開発
Project/Area Number |
18360177
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
野口 卓 National Astronomical Observatory of Japan, 先端技術センター, 准教授 (90237826)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / マイクロ波・ミリ波 / 電子デバイス・機器 / 雑音源 |
Research Abstract |
雑音源素子として利用することを目的として、Nbを超伝導電極材料とし、Al酸化膜をトンネルバリアとしたNb/AlOx/Nb構造の超伝導トンネル接合素子(SIS素子と呼ぶ)の製作およびその高品質化に関する理論的な検討および試作実験を行った。その結果、Nbの超伝導ギャップ電圧(約2.8mV)以下の領域でのリーク電流が著しく小さく(クオリティファクタQ=R_<SG>/R_N>20)、ギャップ電圧で急激な電流の立ち上がりを示す、ほぼ理想的なSIS素子の製作が再現良く製作できるようになった。さらに、こうして得られたSIS素子を雑音源回路モジュールに組み込み、0-20GHz帯で動作するマイクロ波帯雑音源としての動作実証を行った。この雑音源を用いて、冷却低雑音アンプのNFを測定し、測定従来のアバランシェダイオードを用いた雑音源との比較を行ったところ、ほぼ理論通りの雑音出力が得られることが明らかになった。ただし、今回実験したSIS雑音源は大きな周波数依存性を持つことが明らかになった。詳細な回路解析の結果、大きな周波数依存性を生み出す主な原因が、SIS素子の容量に起因したインピーダンスの不整合にあることが判明しており、SIS素子の容量が無視できる程度の微小面積(約1μm^2)のSIS素子の製作とこれを用いた雑音源の開発を行っている。 また、SIS素子の高品質化に関する理論的検討を通して、ギャップ電圧以下でのリーク電流の大きさがNb電極の膜質に依存することを明らかにした。従来、SIS素子のリーク電流は、主に、バリアの欠陥によって発生するものと考えられてきたが、本研究で得られた結果はこの常識を覆すものであり、今後のSIS素子に関する新たな理論的、実験的研究の契機となる成果である。
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Research Products
(12 results)