2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ガウス通信路に対する量子符号化変調方式に関する研究
Project/Area Number |
18360186
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
臼田 毅 Aichi Prefectural University, 情報科学部, 准教授 (80273308)
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Keywords | 情報通信工学 / 量子情報理論 / 量子ガウス通信路 / 符号化変調 / 通信路容量 / 量子通信 |
Research Abstract |
本年度に行った研究を要約すると次のようになる. 1.符号化PSK変調に対する情報レートと誤り率の特性符号化PSK変調の考察として,変調の際の信号数と符号化率により決まる情報レートを一定としたとき,信号数と符号長を変えたときに量子一括復号による最小ビット誤り率がどのように改善するかを調べた.符号化として擬巡回符号を用い,信号数を一定として符号長を変えた場合は,符号長が長くなるほどビット誤り率が改善されることが確認されたが,信号数を変えた場合は,符号長が長ければよいとは限らないことがわかった. 2.ヘテロダイン受信機と量子準最適受信機による最大相互情報量の比較ここまでの本研究の結果を技術に結びつけるため,量子最適受信機よりも実現の容易な準最適受信機に着目した.その結果,多元PSK信号に対する量子準最適受信機による最大相互情報量は,ヘテロダイン受信機だけでなく,誤り率を最小とする量子最適受信機による相互情報量をも上回る場合があることが明らかとなったこの結果は,符号化によって量子準最適受信機の優位性が発揮されることを示している. 3.リードソロモン符号を用いた符号化PSK変調の検討量子通信に対して性能の良い符号を効率的に見つけるため,古典的に性能の良い符号を重点的に調べることの可否を明らかにするべく,リードソロモン符号を用いた符号化PSK変調の特性を調べた.短い符号長の場合にしらみつぶしに調べた結果として,リードソロモン符号は擬巡回符号の中で量子一括復号による相互情報量のパフォーマンスが極めて優れていることがわかった.このことは,今後の量子通信システムの設計論に対する示唆を与えるものであるといえる.
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