Research Abstract |
本研究の目的は,申請者が属している研究グループにおいて申請者らにより成果を蓄積してきた独創技術である「光波コヒーレンス関数の合成法」という反射光分布測定技術と,申請者がアメリカハイテク企業で展開してきた「波長掃引平均法」という測定法,さらには新たな光スペクトルアポダイゼイション技術等を光学的に融合させた「光相関特性の複合操作技術」を提案・確立して,高速,高感度,高空間分解能,広ダイナミックレンジといった高い機能を併せ持つ反射光分布測定法(光リフレクトメトリ)技術を創成する。この技術により。光ファイバ増幅器など光複合モジュールの診断,多重経路干渉の計測と評価など,光ファイバ通信機器産業における難問に解決方法を提供する。さらに,本研究で確立する技術により,高機能な光加入者網診断技術も提供する。 本年度は,反射光分布測定精度,感度と測定速度の制限要因を総合的に検討,解析し,反射率精度,感度と測定速度の現実的な限界を把握することができた上,「光波コヒーレンス関数合成法」による光リフレクトメトリ実験系を構成し,レーザ光源周波数変調波形を新たに設計し,光スペクトルアポダイゼイション技術の導入などの工夫を施し,ダイナミックレンジの拡大,感度の向上と偏波変動の影響の抑制などの高性能化を図った。これに基づいて,レーリー散乱の観測に成功した。また,SOCFにおける測定位置を決める光周波数の連続掃引法も新たに提案し,長距離(数km先)にわたる反射分布の測定時間も数秒程度に抑えることに成功した。この高精度,高速反射光分布測定システムを用いて,光ファイバモジュール中の反射率分布の測定,光ファイバモジュール中の多重径路干渉の測定など,基礎実験を行い,実証に成功した。さらに,光産業で難関となっている光加入者網における分岐光路の診断への応用も検討した。加えて,ブリルアン散乱を用いた分布型光ファイバセンシング技術の進展にも直接的に寄与している。 本年度の研究成果として,英文学会誌論文4件が掲載され,国際会議論文8件,国内学会,研究会論文16件も発表している。
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