2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360204
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 英紀 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, チームリーダー (10029514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 学之 名古屋工業大学, 工学研究科, 非常勤研究員 (80332344)
田中 玲子 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (50306875)
下田 真吾 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (20415186)
WOJTARA Tytus 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (00415093)
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Keywords | 複合制御 / 自己組織 / 運動制御 / 遺伝子発現制御 / 転写制御 / オペロン |
Research Abstract |
複合制御機構が生物において用いられている代表的な場が細胞における遺伝子発現制御と脳における運動制御である。今年度は研究のスタートに当り、両者に研究の焦点をしぼった。前者に関しては遺伝子発現制御を制御理論の枠組で考察するための枠組を提案した。制御対象としてオペロンを、制御系として転写因子の回路を考える図式が多くの遺伝子の制御系を自然に記述出来ることを示した。この枠組で実際に遺伝子制御系を解析するために転写制御の生化学ダイナミックスを記述する普遍的な表現法を提案した。また、この枠組で複合制御を実際に実現する基本ロジックを解明し、その生物学的な意義を考察した。幾つかのオペロンを例にとってロジックの実際の動作を示した。 一方、脳の運動制御に関しては、複合制御の重要な特徴のひとつである「一様な計算機構」を体現する等しい計算素子からなる一様なネットワークを構成した。これらの運動制御の計算原理は自己保存の要求とHebb則にもとづくのみで、正解や誤差信号は素子は直接用いていない。このような素子と回路を用いて様々な運動制御の実験を行った。その結果、環境との良好な相互作用を短時間で獲得する能力を保持することが分り、複合制御のアプローチが自然の学習方式として合理的であることを示すことが出来た。この方式で、単項動作としては最も困難と思われる歩行を実現する脚式機械を作製し、実際に歩かせることが出来た。<学習>による歩行の実現は世界でも初めてである。この方式は環境のモデルを必要としないので、不整地歩行など未知の環境における行動に大きな可能性をもたらすと思われる。 今後、動作の複合性やさらに大きな不確かさをもつ環境における行動に挑戦しつつ、理論的な基礎の解明につとめたい。
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Research Products
(9 results)